最新記事

増税

安倍首相、今秋10%導入後の消費税引き上げ「今後10年は必要ない」

2019年7月3日(水)15時59分

安倍晋三首相は、参院選に先立つ与野党7党の党首らの討論会で、消費税率引き上げについて「安倍政権でこれ以上引き上げることは全く考えていない」と述べ、税率を10%以上にすることに否定的な見解を示した。写真は日本記者クラブで撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

安倍晋三首相は3日、参院選に先立つ与野党7党の党首らの討論会で、消費税率引き上げについて「安倍政権でこれ以上引き上げることは全く考えていない」と述べ、税率を10%以上にすることに否定的な見解を示した。「今後10年くらいは(10%以上に)上げる必要はない」とも述べた。

アベノミクスの「第一の矢」である日銀の異次元緩和の是非に関しては「失敗ではない」と強調した。

その上で首相は「大切なのは実体経済を良くすることで、金融政策が雇用に働きかけ、デフレではない状況を極めて短い間で達成することができた」とし、「日銀がとってきた政策は間違っていない」との認識を重ねて示した。

政府・日銀が掲げる物価安定目標の達成については「引き続き2%目標に向けて続けてもらいたい。同時に、無理やりではなく、安定的に物価安定目標に進んでいってもらいたい」と語った。

出口戦略に関しては「政府が何か恣意的なことを言うべきではなく、日銀に適切に判断してもらいたい」と表明。また「テーパリングなどは専門家の世界のことなので、黒田総裁に任せている」、「経済の状況を見ながら、慎重に判断して欲しい」と述べた。

憲法改正を巡っては「自衛隊を明確に憲法に位置付けることが根本」との認識をあらためて示した。一方、公明党の山口那津男代表は、与野党をの枠を越えて議論を深めるべきだとし「まだまだ議論が十分でない」と指摘した。

安倍首相は参院選の勝敗ラインについて、自民、公明両党で非改選議席を含め過半数の確保だとの認識を示した。

首相は対韓輸出規制の強化にも触れ、元徴用工問題などを巡って「相手が約束を守れない中では、今までの優遇措置はとれない。WTO(世界貿易機関)ルールに反する話では全くない」と述べた。

*内容を追加しました。

(山口貴也、田巻一彦 編集:青山敦子、田中志保)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中