最新記事

韓国事情

韓国人の日本に対する好感度は上昇、いっぽう日本人は......

2019年6月26日(水)17時50分
佐々木和義

日韓とも20代や30代の好感度が高いが...... Kim Kyung-Hoon-REUTERS

<日本人の韓国に対する好感度が下がっている一方で、韓国人の日本への好感度が上がっていることがわかった......>

日本人の韓国に対する好感度が下がっている一方で、韓国人の日本への好感度が上がっていることがわかった。韓国の「東アジア研究院」と日本の民間非営利団体「言論NPO」が共同で実施した調査によると日本人の韓国に対する好感度は20.0%で同調査をはじめた2013年と比べて11.1ポイント下落していたが、韓国人の日本への好感度は19.5ポイント高い31.7%だった(聯合ニュース)。

日韓両国の相手国に対する好感度は政治に左右される傾向が強く、日本は昨今の情勢を反映しているが、韓国人の日本への好感度は関係改善を求める声が現れた結果となっている。

日韓両国の好感度はこれまで激しい上下を繰り返してきた

日韓両国の好感度は政治情勢に合わせて激しい上下を繰り返してきた。金大中元大統領が日本大衆文化の解禁を表明した1998年から交流が深まり、好感度も上昇したが、2005年に大きく低下した。島根県が竹島の日を条例で制定し、韓国政府や韓国民が猛反発。領土問題が火種となって両国関係が悪化し、高野紀元大使が一時帰国する事態に発展した。

その後、日本の韓流ブームや韓国の日本食ブームで、日本人の韓国に対する好感度が60%台に達するなど良好な関係を取り戻したが、2011年12月、韓国の反日団体が在韓日本大使館前に慰安婦像を設置したことでふたたび降下した。翌2012年8月には李明博元大統領が韓国歴代大統領としてはじめて竹島に上陸したことで、日本政府は武藤正敏大使を一時帰国させ、好感度は30%まで急落した。

2013年に就任した朴槿恵前大統領も慰安婦問題で頑なな態度を取り続け、日韓以外の第三国に日本の悪口を言う「告げ口外交」を展開する。折しも爆買いの訪韓中国人が急増したことも相まって、日本一辺倒だった韓国の商業関係者たちは中国一辺倒に傾き、両国関係に改善の兆しが見えることはなかった。

韓国人の日本への好感度が上昇したのは2017年頃からだ。長い間、日本人の韓国に対する好感度が韓国人の日本に対する好感度を上回っていたが、日本人の韓国に対する印象が悪化し、2018年には日本に好印象をもつ韓国人が韓国に好印象をもつ日本人の割合を上回ることになった。

日韓とも20代や30代の好感度が高い

また、読売新聞と韓国日報が行なった調査で、日本人の83%、韓国人の82.4%が日韓関係を悪いと答えている。解決が必要な課題として韓国人はおよそ7割が慰安婦問題を挙げ、また歴史認識や賠償問題を挙げる人も多いが、日本人は韓国の行き過ぎた反日行動や教育を挙げる人が多い。日本人は現在を問題視し、韓国人は過去を取り上げているという印象だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送米GDP、第1四半期+1.6%に鈍化 2年ぶり

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁

ビジネス

トヨタ、米インディアナ工場に14億ドル投資 EV生
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中