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大学生1日あたりの生活費677円の残酷物語

2019年6月13日(木)15時40分
舞田敏彦(教育社会学者)

学業とバイトの主従関係が逆転している学生もいる kokouu/iStock.

<仕送りが減って家賃が上がった今、東京の私大生の1日あたりの生活費は20年前の3分の1以下に>

東京私大教連の2018年の調査によると、私大新入生(下宿)の1日の生活費は677円、過去最低になったそうだ。資料は『私立大学新入生の家計負担調査』というもので、2018年5~7月に、首都圏の私大新入生の保護者に答えてもらったとある。

6月以降の仕送り平均額から平均家賃を引いて、それを30日で割って「1日の生活費」を算出している。2018年調査によると、仕送り額は8万3100円で家賃は6万2800円。前者から後者を引くと2万300円、これを30日で割って1日あたり677円となる。

資料には時系列データも載っているので、筆者が大学に入った1995年と比較すると<表1>のようになる。

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90年代半ばの頃は、平均仕送り額が12万円を超えていた。それでいて家賃は今より安く、1日あたりの生活費は2000円を超えていた。今では仕送りが減り家賃が上がっているので、677円という悲惨な数値になっている。

家庭の年収よりも仕送りの減少率が大きいのは、学費が上がっているのでそのしわ寄せを受けているからだろう。仕送りと家賃の差額を全部自由に使えるわけではない。光熱費等も差し引かれる。しかし収入も奨学金やバイト代が加味されるので、上記の677円という数値は、現実的にはもう少し高いのではないかと見られる。

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