リラ安止まらず2年で約半値 トルコに打開の一手はあるか?
資本規制
どんな国でも資本規制は導入したくないが、危機の際には導入例が多い。さらにトルコは、国内銀行が3月に外銀とのリラ取引を突然一時停止した時点で、資本規制に片足を突っ込んだ形になっている。ドルの送金にも制限を設けており、金融市場は追加的な措置が出てくることを織り込んでいるもようだ。トルコの銀行の株価純資産倍率(PBR)は、ギリシャが経済危機で資本規制を導入した局面における同国の銀行のPBR並みに低くなっている。トルコの国債と銀行債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドは、何度もデフォルトをしてきたアルゼンチンに迫るほど拡大しつつある。
資本規制はコストも伴う。大がかりな規制を導入すれば、外国からの投資が止まり、政府は歳出削減を迫られ、景気後退が一段とひどくなる恐れが出てくる。
中銀の対応
トルコは、2014年の金融危機を物価目標厳格化によって和らげることに成功したロシアの先例を踏襲することもできる。
トルコの中央銀行が同じように動こうとするなら、政策運営を引き締め方向に転じなければならない。ただしこれは、借り入れコスト引き下げを要求し続けているエルドアン氏から金融政策の主導権を奪う必要があり、険しい道だと証明されている。
ピクテ・アセット・マネジメントのシニアエコノミスト、ニコライ・マルコフ氏は「今の危機に対処する唯一の方法は、利上げでインフレと闘う決意を示し、物価上昇率を目標圏内に鈍化させて、リラ安を抑えることだ」と指摘した。
中銀は物価が予想外に高騰すれば利上げを排除しないと表明しているが、21日にはスワップ金利を引き下げ、行動と発言に矛盾が見られる。
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