最新記事

核・ミサイル開発

北朝鮮の飛翔体「ロシア関与の形跡がそこら中に」──専門家

2019年5月20日(月)15時15分
デービッド・ブレナン

KCNA-REUTERS

<5月4日に発射された「飛翔体」はロシア製ミサイルに酷似している、ロシアの企業や技術者の側にも加担し得る理由がある......>

北朝鮮の新兵器開発にロシアの関与はあるのか。この点について、シャナハン米国防長官代行は否定も肯定もしなかった。

FOXニュースのインタビューで、シャナハンは幅広い質問に答えていた。ところが北朝鮮の兵器とロシアとの関係について聞かれると、明らかに慎重な口調になり、「判断はお任せしたい」と言うだけだった。

北朝鮮は5月4日、「大口径の長距離放射砲と戦術誘導兵器」の発射訓練(写真)を実施したと、朝鮮中央通信は伝えている。この飛翔体がロシア製の高性能弾道ミサイル「イスカンデル」に酷似しているという専門家の見方を、米ナショナル・パブリック・ラジオが報じた。

「ロシアの関与の形跡がそこら中に見られる」と、北朝鮮のミサイルに詳しいマーカス・シラーは言う。しかし北朝鮮がロシアからミサイルを丸ごと調達しているとは限らず、主要部品はロシアから買い、残りは国内で製造した可能性もあるという。

米シンクタンク「センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト」の朝鮮半島専門家ハリー・カジアニスは、ロシアが北朝鮮のミサイルや大量破壊兵器開発を支援している可能性は低いと考えている。「経済制裁の強化を恐れているからだ」

だがカジアニスも「ロシアの元技術者やロシア企業が、北朝鮮の技術開発と国連安保理決議に違反することに加担している可能性は全面的には排除できない」と言う。「ロシアの企業や技術者はロシアの軍事費削減の影響で苦しい状況にある。違法行為に走っても不思議はない」

「金正恩(キム・ジョンウン)は北朝鮮が経済的に途轍もない可能性を秘めていることを知っており、それをふいにするような行動に出るとは思えない」。トランプ米大統領は北朝鮮による飛翔体の発射をことさら重要視しない姿勢を示し、こうツイートしたが......。

<2019年5月28日号掲載>

20190528cover-200.jpg
※5月28日号(5月21日発売)は「ニュースを読み解く哲学超入門」特集。フーコー×監視社会、アーレント×SNS、ヘーゲル×米中対立、J.S.ミル×移民――。AIもビッグデータも解答不能な難問を、あの哲学者ならこう考える。内田樹、萱野稔人、仲正昌樹、清水真木といった気鋭の専門家が執筆。『武器になる哲学』著者、山口周によるブックガイド「ビジネスに効く新『知の古典』」も収録した。


ニューズウィーク日本版 世界最高の投手
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月18日号(11月11日発売)は「世界最高の投手」特集。[保存版]日本最高の投手がMLB最高の投手に―― 全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の2025年

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、慎重な対応必要 利下げ余地限定的=セントル

ビジネス

今年のドル安「懸念せず」、公正価値に整合=米クリー

ワールド

パキスタン、自爆事件にアフガン関与と非難 「タリバ

ビジネス

今年のドル安「懸念せず」、公正価値に整合=米クリー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 5
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「ゴミみたいな感触...」タイタニック博物館で「ある…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中