最新記事

米外交

ベネズエラ危機、独裁打倒の失敗とアメリカの無責任

Will Guaidó’s Gamble Pay Off?

2019年5月9日(木)16時20分
クリストファー・サバティーニ(コロンビア大学国際公共政策大学院講師)

カラカスの空軍基地の近くで機動隊と対峙する反政府デモ CARLOS GARCIA RAWLINSーREUTERS

<グアイドの反政府デモは今回も不発 軍事介入をにおわせつつ何もしない米政府の罪>

始まりはサプライズだったが、終わりは今までどおりの尻すぼみ。ベネズエラの独裁政権打倒はならず、例によってトランプ米政権は、全てはキューバとロシアのせいだとかみついた。

それは4月30日の早朝だった。野党指導者で国会議長のフアン・グアイド(1月に暫定大統領への就任を宣言している)は、軍人や有力な野党政治家レオポルド・ロペスらを従えて軍隊に決起を呼び掛け、共にマドゥロ政権と戦おうと訴えた。

ツイッターに投稿された動画を見ると、グアイドは首都カラカスの空軍基地前で、ニコラス・マドゥロ大統領による「権力の強奪」を今こそ終わらせなければならないと叫び、国民や軍に政権打倒の「最終段階」への参加を呼び掛けている。

ちなみにロペスは、この動画が出る直前まで自宅に軟禁されていた。どうやら反政府側に加わった兵士たちによって軟禁を解かれ、駆け付けたらしい。

その後、ベネズエラのソーシャルメディアは、持ち場を離れる兵士や、反政府を示す青い腕章を着けてグアイド率いる「自由作戦」に参加する兵士の姿を捉えた投稿であふれた。

しかし、こうした投稿に見入る人々の驚きや期待はどこへやら。市民による大規模なデモ行進も、軍幹部の離反も現実には起こらなかった。

そしてグアイドによる動画公開から半日もたたないうちに、今回の「決起」は急速に勢いを失っていった。その後はさまざまな臆測が飛び交い、非難の応酬があり、ホワイトハウスは強硬姿勢を取り、ロペスとその家族はスペイン大使館に保護を求める羽目になった。

マドゥロ政権打倒を目指してグアイドが決起を促したのはこれが3回目。そして反政府運動自体はウゴ・チャベスが大統領選に勝利した98年直後から続いている。チャベス就任の数週間後には早くも野党指導者らが国民にデモを呼び掛けていた。政権内部の分裂を誘い、政権交代につなげようとの狙いだった。

02年4月には国家警備隊がデモに参加していた市民に発砲し、銃撃戦となった。それを受けて48時間もたたないうちに軍はチャベスに退陣を求めたが、それに反対する勢力が勢いを増すと、軍は退陣要求を撤回した。

MAGAZINE

特集:日本と韓国 悪いのはどちらか

2019-9・24号(9/18発売)

終わりなき争いを続ける日本と韓国── 泥沼の関係に陥った本当の原因と「出口」を考える

人気ランキング

  • 1

    サウジ原油施設攻撃で世界は変わる

  • 2

    韓国航空会社の受難......ウォン安、原油高騰に「ボイコットジャパン」が追い打ち

  • 3

    嘘つき大統領に「汚れ役」首相──中国にも嫌われる韓国

  • 4

    【韓国政治データ】文在寅大統領の職業別支持率(201…

  • 5

    香港対応に見る習近平政権のだらしなさ

  • 6

    韓国のインスタントラーメン消費は世界一、その日本…

  • 7

    文在寅が「タマネギ男」の検察改革に固執する理由

  • 8

    文在寅「超側近」チョ・グクの疑惑がここまで韓国人…

  • 9

    タブーを超えて調査......英国での「極端な近親交配…

  • 10

    韓国で広がる東京五輪不参加を求める声、それを牽制…

  • 1

    サウジ原油施設攻撃で世界は変わる

  • 2

    韓国航空会社の受難......ウォン安、原油高騰に「ボイコットジャパン」が追い打ち

  • 3

    タブーを超えて調査......英国での「極端な近親交配」の実態が明らかに

  • 4

    消費税ポイント還元の追い風の中、沈没へ向かうキャ…

  • 5

    【韓国政治データ】文在寅大統領の職業別支持率(201…

  • 6

    韓国のインスタントラーメン消費は世界一、その日本…

  • 7

    嘘つき大統領に「汚れ役」首相──中国にも嫌われる韓国

  • 8

    「日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう」…

  • 9

    思い出として死者のタトゥーを残しませんか

  • 10

    9.11救助犬の英雄たちを忘れない

  • 1

    嘘つき大統領に「汚れ役」首相──中国にも嫌われる韓国

  • 2

    日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう

  • 3

    ハワイで旅行者がヒトの脳に寄生する寄生虫にあいついで感染

  • 4

    ヒマラヤ山脈の湖で見つかった何百体もの人骨、謎さ…

  • 5

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 6

    「TWICEサナに手を出すな!」 日本人排斥が押し寄せる…

  • 7

    「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?

  • 8

    韓国で脱北者母子が餓死、文在寅政権に厳しい批判が

  • 9

    サウジ原油施設攻撃で世界は変わる

  • 10

    「この国は嘘つきの天国」韓国ベストセラー本の刺激…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月