最新記事

南米

ベネズエラ、軍の一部が政権反旗 国会議長「マドゥロ打倒へ最終段階」

2019年5月1日(水)07時05分

南米ベネズエラで暫定大統領就任を宣言したグアイド国会議長は、マドゥロ政権の打倒に向け「最終段階」に入ったとした上で、国民や軍に蜂起するよう呼び掛けた。写真はカラカス市内で装甲車に対峙する反政府グループ(2019年 ロイター/CARLOS GARCIA RAWLINS)

南米ベネズエラで暫定大統領就任を宣言したグアイド国会議長は30日、ツイッターに動画を投稿し、マドゥロ政権の打倒に向け「最終段階」に入ったとした上で、国民や軍に蜂起するよう呼び掛けた。

議長は「今や時が満ちた。将来はわれらの手中にある。国民と軍は結束した」と表明した。またその後、軍指導部と協議し「完全な忠誠」が得られたと説明した。

ロイター記者が目撃したところによると、カルロタ空軍基地の周辺では、グアイド氏に従う軍服を着た数十人の若者らと政権側の兵士らとの間で銃撃戦になった。またグアイド派の集団に合流した市民数百人に向けて治安部隊が催涙弾を発射した。

カラカス市内ではグアイド氏を支持する市民数万人がデモ行進を実施。警備隊と衝突し36人が負傷した。投石を行う群衆の中に警備隊の車が突っ込む様子も見られた。

パドリノ国防相は「国中に暴力をはびこらせるようなクーデターの動きを拒絶する」とした上で、政権軍は引き続き「憲法および合法的な政権を断固防衛する」と表明。すべての軍部隊は正常に機能していると主張した。

ホワイトハウスのサンダース大統領報道官は、ベネズエラの動向についてトランプ大統領が報告を受けており、状況を注視していると述べた。グアイド氏から事前に相談があったかなどについては明らかにしなかった。

グアイド氏が駐米大使に指名したカルロス・ベッキオ氏は、トランプ政権の関与を否定した上で「これはベネズエラ国民が起こした行動だ」と強調。一方、ベネズエラのアレアサ外相はロイターのインタビューに応じ「軍がクーデターを企てている事実はない」と指摘。米政府や国防総省、国務省、ボルトン補佐官が直接この計画を練っていると主張した。

ボルトン氏は、パドリノ国防相を含めマドゥロ氏の3人の腹心が過去に平和的な政権移譲を約束しており、それぞれが約束を果たすべきと表明した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

コムキャスト、ワーナー・ブラザースの事業買収検討 

ビジネス

日経平均は反落、AI関連中心に下押し 物色に広がり

ビジネス

ホンダ、通期予想を下方修正 四輪中国販売減と半導体

ビジネス

GPIF、7―9月期運用益は14.4兆円 株高で黒
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中