最新記事

ロシア疑惑

米司法省ロシア疑惑報告書を公開 トランプの司法妨害の可能性ある行動を列挙

2019年4月19日(金)11時00分

米司法省は2016年大統領選のロシア介入疑惑を巡るモラー特別検察官の捜査報告書を公開した。写真は公開された報告書(2019年 ロイター/ANDY SULLIVAN)

米司法省は18日、2016年大統領選のロシア介入疑惑を巡るモラー特別検察官の捜査報告書を公開した。トランプ大統領がモラー氏の排除を側近に訴えるなどしていかに捜査の妨害を試みたかが詳細に記されており、司法妨害の罪を犯した可能性について疑問を残す内容となっている。

野党民主党は、大統領の不正行為を裏付ける憂慮すべき証拠が含まれており、議会の調査が必要になる可能性があると指摘。ただ、弾劾裁判にかけようという動きは現時点で出ていない。

モラー氏は448ページに及ぶ報告書で、大統領による司法妨害を示す事例を数多く取り上げたが、罪を犯したとは結論付けなかった。一方、潔白も証明していない。モラー氏は、大統領が法律を違反したどうかについては、議会に調査の権限があると指摘した。

報告書には「議会が大統領の誤った職権行使に妨害法規を適用する可能性があるとの結論は、チェックアンドバランスをうたう憲法制度や、法の上に立つ人はいないという原理原則にかなう」と記されている。

モラー氏は、ロシア政府とトランプ陣営の間の「多数のつながり」が判明し、陣営が「ロシアの取り組みを通じて窃盗・公表された情報によって選挙で恩恵を受けると見込んでいた」と報告。これはハッキングされた民主党陣営の電子メールを指している。

ただ、選挙介入で双方が犯罪的共謀に関与した十分な確証は得られなかったと結論付けた。

大統領はホワイトハウスでのイベントで、報告書公表を受け「良い1日になった」と歓迎する姿勢を強調。「共謀も司法妨害もなかったということだ」と述べた。同氏の法務チームは報告書は大統領側の「完全な勝利」と主張した。

報告書は、機密情報などを保護する理由で一部を除いて公表された。大統領がどのようにしてモラー氏排除を試みたかや、自身の無実を公に保証するよう政権メンバーらに指示したか、モラー氏に協力させないよう元側近に恩赦をちらつかせたかについて、新たな詳細が示された。

「捜査に影響を及ぼす大統領の試みは大半が成功しなかった。大統領を取り巻く人々が指示を実行しなかったか要求を受け入れなかったことが主因だ」と報告している。

大統領はモラー氏が特別検察官に任命されたことで自身の職が終わりを迎えると考えていたことも分かった。

当時のセッションズ司法長官が17年5月にモラー氏任命を大統領に報告した際、大統領は「何てことだ。これはひどい。これで私の大統領職は終わりだ」と述べた上で、「なぜこのような事態になったのか」と失望感を示したという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:社会の「自由化」進むイラン、水面下で反体制派

ワールド

アングル:ルーブルの盗品を追え、「ダイヤモンドの街

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円で横ばい 米指標再開とFR

ビジネス

米、対スイス関税15%に引き下げ 2000億ドルの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 5
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 6
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 7
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 8
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 9
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中