最新記事

ロシア疑惑

米司法省ロシア疑惑報告書を公開 トランプの司法妨害の可能性ある行動を列挙

2019年4月19日(金)11時00分

バー司法長官は記者会見で、モラー氏が報告書の中で大統領に関する10の事例について詳細を示し、これらを「司法妨害に関連付け得る」法理論を議論したと説明。同長官は前月、当時未公開だった報告書に基づき、大統領は罪を犯していないと断定していた。

報告書は、大統領が連邦捜査局(FBI)の捜査によって「自身の陣営と個人的な活動に関する事実」が明らかになることに警戒していたと伝えている。このような事実が犯罪行為か個人的・政治的な懸念を引き起こすものと大統領が認識していた可能性があるという。

下院司法委員会のナドラー委員長(民主)は、未編集の報告書を入手する召喚状を出す方針を表明、モラー氏に5月23日までの証言を求めた。ナドラー氏は記者団に、モラー氏は議会に指針を示す意図で報告書をまとめたとのかもしれない見方を示した。ただ弾劾について語るのは「時期尚早」とした。

下院情報特別委員会のシフ委員長(民主)は犯罪に該当するかどうかは差し置いても、大統領と同氏陣営の行動は「明らかに不誠実、非倫理的、不道徳で愛国心に欠いているため、全ての米国人から非難されて当然」と強調した。

大統領選介入

報告書は、大統領の司法妨害の可能性を分析するにあたり、モラー氏の排除や調査の範囲を限定することを狙った試みや、16年6月にニューヨークのトランプ・タワーでのトランプ陣営幹部とロシア人との会合が世間に知れることを防ごうとしたことなどの事例を取り上げている。

大統領は17年6月、当時ホワイトハウスの法律顧問だったマクガーン氏に対し、モラー氏には利益相反があり、解任の必要があると当時の司法省のナンバー2にに伝えるよう指示したという。だが、マクガーン氏は指示を実行しなかったと報告している。

また大統領が17年5月にコミー前FBI長官を解任したのは、長官に「大統領個人は捜査の対象でないと公に表明する気がなかった」ことが理由だと示す「重要な証拠」があるとしている。FBIは当時、ロシア疑惑捜査を率いていた。

大統領の就任前にフリン元大統領補佐官がロシア大使に電話を掛けていたことを大統領が知っていた「複数の証拠」についても指摘。ただ証拠は「決定的なものではなく」、大統領の妨害の意図を立証するには使えなかったという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ、鉱物協力基金に合計1.5億ドル拠出へ

ワールド

中韓外相が北京で会談、王毅氏「共同で保護主義に反対

ビジネス

カナダ中銀、利下げ再開 リスク増大なら追加緩和の用

ワールド

イスラエル軍、ガザ市住民の避難に新ルート開設 48
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中