最新記事

リビア情勢

リビアの首都トリポリ近郊で軍事衝突、内戦本格化か

Libya’s Strongest General, a U.S. Citizen, Taking Over

2019年4月8日(月)20時00分
トム・オコナー

これまで何度もハフタルと接触してきたロシア政府だが、最近の軍事攻勢については不支持の姿勢を明らかにしている。

「われわれはリビアのすべての関係する勢力が平静を保ち抑制を示すべきだと信じる」とロシア外務省は5日、声明を出した。「軍事的シナリオは同国のただでさえ非常に困難な状況をさらに悪化させる可能性があり、これが新たな犠牲者と破壊を生むだろうことは明らかだ。そんな展開では、国連の支援の下、総選挙を通して不変で効果的な国家機関を築くことを最終的な目的として、リビアに安定的で包括的な政治プロセスを作るという見通しは遠のいてしまうだろう」

一方、シラージュを支えているのが、暫定政権寄りの複数の民兵組織が結成した「トリポリ防衛軍」だ。これらの民兵組織にはトリポリ革命大隊やアブ・サリム中央保安部隊、ナワシ大隊、そして内務省の特別抑止部隊などが含まれる。だが、勢力争いを背景にトリポリが無法状態に陥る中で、誘拐などの犯罪に手を染めているとされる組織もある。

トリポリの分裂した政界で同様に影響力を持っているのがイスラム主義勢力が主流のリビア国民議会だ。同議会の自称「救国政府」もまた、シラージュ暫定政権を認めていない。リビア国民軍は当初、トリポリ市から約30キロの検問所を制圧したものの、暫定政権寄りの民兵の反攻に遭った。首都攻防の戦いは激しいものになりつつある。

追記:最新の報道によれば、ハフタル率いるリビア国民軍とシラージュ率いる暫定政府軍は7日、トリポリ近郊で衝突。激しい戦闘で互いに多くの死者を出した。さらに8日にかけて互いの陣地を空爆。本格的な内戦に陥る危険が増している。

(翻訳:村井裕美)

ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノボノルディスク、不可欠でない職種で採用凍結 競争

ワールド

ウクライナ南部ガス施設に攻撃、冬に向けロシアがエネ

ワールド

習主席、チベット訪問 就任後2度目 記念行事出席へ

ワールド

パレスチナ国家承認、米国民の過半数が支持=ロイター
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    習近平「失脚説」は本当なのか?──「2つのテスト」で…
  • 10
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中