最新記事

世論調査

アメリカ人が最近嫌いなのは中国とサウジ 日本は好感度で3番目

Americans' Favorability of China, Saudi Arabia Drops

2019年3月12日(火)16時20分
ジェイソン・レモン

アメリカ人の好感度が急落しているサウジアラビアのムハンマド皇太子(左)と中国の習近平国家主席(2016年8月16日)

<悪化の一途をたどる貿易戦争や人権抑圧が影響。中国はそれに加えて脅威>

アメリカ人が中国とサウジアラビアに対して抱く好感度が、この1年で大幅に下落したことが分かった。ドナルド・トランプ米大統領はこの間に中国との貿易摩擦を激化させる一方、深刻な人権侵害が明らかになったサウジアラビアを擁護してきた。

調査会社ギャラップが3月11日に発表した世論調査結果は、サウジアラビアと中国に対する総合的な好感度がいずれもこの1年で12ポイント下落したことを示している。もっとも、サウジアラビアに比べればまだ中国の好感度の方が高い。回答者のうち中国については好感を抱いていると答えた者が41%だったのに対し、サウジアラビアはわずか29%だった。

サウジアラビアに対する好感度は、2002年に記録した史上最低の27%に近い水準まで落ち込んでいると報告書は指摘している。この27%という記録は、前年の2001年9月11日に起きた同時テロの首謀者ウサマ・ビンラディンと、計画を実行したハイジャック犯15人が、いずれもサウジアラビア人だったことを受けたもの。これとほぼ同レベルというのだから尋常ではない。

中国は貿易面でも安全保障面でも「脅威」

報告書はまた、トランプの中国に対する強硬姿勢にもかかわらず、2017年と2018年、アメリカ人が中国に抱く好感度は高まっていたと指摘する。だが今ではそれが急落。今後10年ほどで米中間の覇権争いが激化するだろうと恐れ、中国をアメリカの国益に対する「重大な脅威」と見なすアメリカ人が増えているのだ。

中国とアメリカは依然、数千億ドル相当の輸出入品が絡む巨額の貿易戦争の渦中にある。2018年夏、トランプは中国からの輸入品に追加関税を課し、中国も同様の対抗措置を取った。この貿易戦争は米中両国の経済に大きな損失をもたらしており、両国の交渉担当者が解決に向けた取り組みを行ってはいるものの、いまだ緊張状態は続いているし重い関税も解除されていない。こうしたなか、米諜報機関やアナリストから、アメリカにとって中国の安全保障上のリスクが高まっているという主張も増えている。

サウジアラビアについては、2018年10月にアメリカ在住のサウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギがトルコのサウジアラビア領事館で殺害されるという陰惨な事件があったにもかかわらず、トランプは同国を「素晴らしい同盟国」だと称賛している。サウジアラビアが反体制派の取り締まりを強化していることも見て見ぬふりだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・ウクライナ首脳会談、和平へ「かなり進展」 ドン

ビジネス

アングル:無人タクシー「災害時どうなる」、カリフォ

ワールド

中国軍、台湾周辺で「正義の使命」演習開始 実弾射撃

ビジネス

中国製リチウム電池需要、来年初めに失速へ 乗用車協
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中