最新記事

インド軍

インド軍の弾薬はたった10日分、パキスタン軍と戦えば勝ち目なし?

India Only Has 10 Days Worth Of Ammunition

2019年3月5日(火)18時30分
ブレンダン・コール

共和国記念日のパレードのリハーサルをするインド軍兵士(2018年1月11日、ニューデリー) Adnan Abidi-REUTERS

<インドはパキスタンよりずっと大国だが、パキスタン軍の戦闘機とのドッグファイトでは旧ソ連時代のミグ戦闘機で撃墜される旧時代の軍隊だ>

インドでは、軍の装備品が時代遅れであることや軍事費が乏しいことがにわかに危機感をもって語られはじめた。万が一戦争が起きたときに国が無防備な状態になりかねない。

インド政府の概算によると、軍事用に備蓄している弾薬はわずか10日分しかもたないと、ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。さらに装備の3分の2以上は旧式で、軍も年代物と認めている。

同紙は、インドのエコノミック・タイムズ紙が2018年7月に報じた内容を引用しながら、インド会計監査局(CAG)が自国の軍装備について厳しい調査結果を出したと伝えた。CAGは、「激戦」を40日間継続できる程度の弾薬備蓄を目指す政府の方針を、インド防衛機関が完全に「無視」していると強く批判している。

CAGの報告書には、「2013年3月時点で、各種弾薬のうち半分は、備蓄が危機的状態にあるか、10日分にも満たない」と書かれている。

2月27日、インド空軍機はカシミール地方上空でパキスタン軍機と空中戦を演じた挙句、撃墜された。操縦士は助かったが、旧ソ連時代の老朽化したミグ21戦闘機は失われた。規模はインド軍の半分で、軍事費も4分の1のパキスタン軍が、装備の質では上回っていることからもこの一件からよくわかる。

いずれも保有国である両国は互いに報復し合って緊張を高めており、軍事衝突する可能性も出てきている。

戦争は待ってくれない

報復合戦の発端は2月中旬、両国が領有権を争うカシミール地方のインド支配地域で自爆テロが発生し、インド治安部隊の40人以上が死亡したこと。パキスタンを拠点とするイスラム過激派ジェイシモハメドが犯行声明を出した。インド空軍は2月26日、テロリストの拠点を叩くとしてパキスタン領内を空爆。それに対する報復がインド軍機撃墜だった。

ちなみに、インド軍機を撃墜したパキスタン軍機はアメリカ製の戦闘機F16ではないか、という疑惑が持ち上がっている。アメリカはF16売却時に使用目的を対テロに限定しており、もし使われたとすれば、合意違反になる。パキスタン政府は否定しているが、米政府は調査を開始する。

インド議会常任防衛委員会の委員を務めるガウラフ・ゴゴイはニューヨーク・タイムズ紙に対し、「インド軍は先進の装備を持たないが、21世紀の軍事作戦を遂行しなくてはならない」と述べた。

アメリカは、アジア地域における中国の影響力拡大に対抗するため、インドを潜在的な同盟国とみなしており、ここ10年間でインドに対して150億ドル相当の武器を供与した。2018年5月には、当時の国防長官ジェームズ・マティスはアメリカ統合軍のひとつ「アメリカ太平洋軍」を「アメリカインド太平洋軍」に改名すると発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米首脳が電話会談、米関税に関する閣僚協議加速で一

ワールド

国連安保理、13日に緊急会合 イスラエルによる攻撃

ワールド

トランプ氏、イスラエルのイラン攻撃計画を事前に認識

ワールド

イスラエル、世界各地の大使館を閉鎖 対イラン攻撃開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 3
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 7
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 10
    救いがたいほど「時代錯誤」なロマンス映画...フロー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中