最新記事

中国

中国のAI巨大戦略と米中対立――中国政府指名5大企業の怪

2019年2月12日(火)15時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

世界人工知能大会「WAIC」 Aly Song-REUTERS

中国は中国製造2025を補強するAI戦略達成のために中国5大企業を指名し、AI領域における世界の覇者を狙っているが、その中にHuaweiはなく、かつ1社は米企業との関係が深い。米中、どちらが覇者に?

「次世代人工知能(AI)発展計画」

2017年7月、国務院(中国人民政府)は「新一代人工知能発展計画」(次世代AI発展計画)を発布した。これは2015年5月に発布した国家戦略「中国製造2025」を補完するAI戦略に特化した計画である。計画は3段階に分かれている。

1.完遂時期に関して

 第一段階:2020年までに世界水準に達し、AIが新時代経済成長のエンジンとなる。

 第二段階:2025年までに中国の一部のAI技術が世界をリードする。進歩の度合いを「中国製造2025」に合わせる。

 第三段階:2030年までに中国のAI総合力を世界トップに持って行き、中国を世界の「AIイノベーションセンター」にする。

2.産業規模

 第一段階:1兆元(16.26兆円)(執筆段階のレート)

 第二段階:5兆元(81.3兆円)

 第三段階:10兆元(約162.6兆円)

第一段階の行動計画を、2017年12月14日、中国の中央行政の一つである「工業和信息化部(工業と情報化部)」(略称:工信部)は<工信部科[2017]315号>として「新世代AI産業発展3年行動計画」を発表した。

主たる目的が「サイバー空間における国家安全」であることは、こちらのページを見れば分かる。このページの一番上に書いてある担当部局名をご覧いただきたい。

一つは「中共中央網絡(インターネット)安全と信息(情報)会委員会弁公室」(Office of the Central Cyberspace Affairs Commission)で、もう一つは「中華人民共和国国家互聯網(インターネット)信息(情報)弁公室」(Cyberspace Administration of China)だ。

中国政府はさらに「国家AI戦略実現のためのプラットフォーム」を指定した。

指定されたのは、以下に示す、領域別の中国最先端5大企業である。

(1) 百度(Baidu):自動運転(スマートカー)

(2) アリババ(Alibaba):都市ブレーン(スマートシティ)

(3) テンセント(Tencent):医療画像認識(ヘルスケア)

(4) アイフライテック(Iflytek)(科大訊飛):音声認識

(5) センスタイム(Sense Time)(商湯科技):顔認識

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英、金融指標の規制見直し 業界負担を軽減

ワールド

韓国、ウォン安への警戒強める 企画財政相「必要なら

ワールド

米、台湾への新たな武器売却承認 ハイマースなど11

ワールド

マクロスコープ:意気込む高市氏を悩ませる「内憂外患
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中