最新記事

トランプ支持者

トランプは石炭の雇用を取り戻せない──嘘に気づき始めた労働者たち

Former Coal Miners Question Trump's Ability to Add Jobs

2019年1月9日(水)17時30分
ダニエル・モーリッツ・ラブソン

トランプ登場に歓声を上げる炭鉱労働者(2018年8月、ウエストバージニア州チャールストン) Leah Millis-REUTERS

<トランプは我々の票が欲しいだけで嘘をついている、と元炭鉱労働者は言う>

アメリカの2人の元炭鉱労働者がCNNの取材に答え、石炭産業を復活させると公約したドナルド・トランプ米大統領の力量に疑問を呈した。

元炭鉱労働者で現在は石炭コンサルタントを務めるアート・サリバンは、「大統領は(炭鉱労働者の)票が欲しいだけで、真実を語っていない。嘘をついている」と述べた。

「炭鉱労働者はとても善良な人々だ。私はこれまでの人生を彼らと共に過ごしてきた。真実を知れば、彼らも正しい判断をするだろう」

同じく元炭鉱労働者のブレア・ジマーマンも、トランプの主張に異を唱えた。

「石炭の専門家は私で、大統領ではない。大統領選の最中、私はトランプの選対スタッフに尋ねた。『いったいどうやって石炭産業を復活させるのか』と。やり方次第で復活は可能だ(石炭を燃料とする)火力発電所を再稼働すれば復活できる。だが規制緩和ではほとんど効果はない」

トランプは大統領選の最中に、石炭産業を復活させ、雇用を増やす能力が自分にはあると盛んに主張していた。しかしCNNの報道によれば、トランプ就任後に閉鎖された火力発電所の数は、オバマ前政権下での最初の4年間よりも多い。

8万人の雇用が5万人へ

大統領任期の折り返し点が近づく中、雇用の拡大は思ったように進んでいない。そこから、トランプには公約を実行する能力がないのではないか、という疑問の声が業界の重鎮からも上がり始めている。

ニュースサイト「アクシオス」に2018年11月に掲載された記事は、米国最大の石炭企業マレー・エナジーのロバート・マレーCEOの発言を伝えている。「(石炭産業再生が)実現するかどうかは政府次第だ」とマレーは述べた。「その政府は、いまだに調査をしている」

CNBCは2018年8月、労働統計局(BLS)のデータを引用しつつ、トランプ就任後、石炭関連の雇用が2000人ほど増加した、と報じた。だがこの数字は推計に基づくもので、これだけの雇用が実際に創出されたかどうかは政府にも明言できないという。

過去10年間で、石炭産業に従事する労働者の数は激減している。労働統計局のデータを見ると、2008年10月の時点で、石炭産業で働く労働者の数は8万4800人だった。これに対して、最終的な統計値が入手可能な最新の月である2018年10月の段階で、この数字は5万2900人にまで減少している。

さらに、2017年には石炭の輸出量が増加したが、2019年には消費量と生産量が共に減少するとみられる。

トランプは、自ら公約した政策を推進する動きの一環として、さまざまな国際会議で石炭を売り込んでいる。2018年12月にポーランドのカトビツェで開催された気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)でも、アメリカの後援を受けたパネルディスカッションは、クリーンエネルギーではなく化石燃料の利用を促進するものだった。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国25年貿易黒字、1兆ドル超で過去最高 米以外向

ビジネス

米高級百貨店サックスが破産申請、新CEOを任命 当

ビジネス

午後3時のドルは一時159.45円、1年半ぶり高値

ワールド

金現物が連日の最高値、銀現物は初の90ドル突破
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 4
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「普通じゃない...」「凶器だ」飛行機の荷物棚から「…
  • 10
    「お父さんの部屋から異臭がする」...検視官が見た「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中