最新記事

フランス

仏「黄色いベスト」デモ新年も続く 一部は政府庁舎に侵入し警官隊と衝突

2019年1月7日(月)10時38分

フランス各地で、マクロン政権に反発するデモが再び起き、パリでは一部の参加者がフォークリフトを使って政府庁舎に侵入したほか、観光名所シャンゼリゼ通り周辺で車に放火するなど暴徒化し、警官隊と衝突した。黄色いベストを着てデモに集まった人たち。パリで撮影(2019年 ロイター/Gonzalo Fuentes)

フランス各地で5日、マクロン政権に反発するデモが再び起き、パリでは一部の参加者がフォークリフトを使って政府庁舎に侵入したほか、観光名所シャンゼリゼ通り周辺で車に放火するなど暴徒化し、警官隊と衝突した。

この日のデモはパリのほかボルドー、トゥールーズ、レンヌ、マルセイユなどで行われ、全国で約5万人が参加した。

パリのデモは穏やかに始まったが、一部の参加者が警官隊を殴り、路上のバイクや車などに放火したことを受けて衝突に発展した。

仏当局は週末に行われているこうしたデモへの対応に苦慮しており、警察の対応のあり方だけでなく、失業手当のルール厳格化や公務員の削減などの改革推進を目指すマクロン政権運営にも問題を提起している。

マクロン大統領は6日、「(フランス)共和国やその守護者、代表、象徴が過激な暴力によって再び攻撃された」とツイッターに投稿した。

11月に始まった「黄色いベスト運動」と呼ばれるデモはクリスマス休暇にかけて一時勢いを弱めたかに見え、マクロン政権は運動に対する態度を硬化させていた。

グリボー政府報道官は4日、経済の再構築に向けた改革の取り組みは弱めないと強調し、デモをなお続けているのは政府転覆を望む扇動者だと非難した。

5日のデモでは参加者が政府庁舎に侵入し、複数の車を破壊。グリボー報道官は裏口から避難する事態となった。報道官はその後、「攻撃されたのは私ではなく共和国だ」と述べた。

マクロン大統領は12月、最低賃金の引き上げや年金生活者を対象とした減税などの対策を発表し、事態の沈静化に努めたが、その後もデモは続いている。

ペニコ労相は、長引く混乱が海外からの投資に打撃を及ぼしていると警告した。

野党からは運動側の要求に対する具体的な提案を示すよう求める声が上がっているが、閣僚らは少数のトラブルメーカーの要求に屈するべきではないとの立場で、ブランケール国民教育相はLCIニュースで「最も大声で泣く者に耳を傾ける国であってはならない」と述べた。

[パリ 6日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ビットコイン再び9万ドル割れ、一時6.1%安 強ま

ワールド

プーチン氏、2日にウィットコフ米特使とモスクワで会

ビジネス

英住宅ローン承認件数、10月は予想上回る 消費者向

ビジネス

米テスラ、ノルウェーの年間自動車販売台数記録を更新
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 7
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 8
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中