最新記事

北朝鮮

北朝鮮は「世界一安全な国」、来年のブロックチェーン会議に向けて必死の売り込み

North Korea Says It's 'The Safest Country in the World'

2018年11月21日(水)17時46分
トム・オコーナー

政府主催のツアーで外国人記者が連れていかれた真新しい地下鉄駅構内(2015年10月9日) Damir Sagolj –REUTERS TPX IMAGES OF THE DAY

<ただし日本人、韓国人、イスラエル人はお呼びでないし、そうでなくても「共和国に対する敵対行為」はゆるされない。あのアメリカ人学生ウォームビアのように>

北朝鮮は11月20日、平壌で来年4月に開催予定のブロックチェーンと仮想通貨の会議の詳細を発表し、外国人の参加条件と守るべきルールについて明らかにした。

同国の公式旅行サイトで20日に公開された専用の情報ページによれば、会議の期間は19年4月18~25日。誰でも参加歓迎だが、例外は韓国と日本、イスラエルのパスポート保有者とジャーナリスト。「よくある質問(FAQ)」欄では、外国人訪問者が守るべき規則の一部を紹介している。

アメリカ国籍者の「申し込みは歓迎」する、出席者はノートパソコン、スマートフォン、タブレットを持ちこむことができるが、「マスコミのプロパガンダや共和国の尊厳を損なうデジタルおよび印刷資料は許可されない」と警告している。

「北朝鮮は世界で最も安全な国と考えられている」と同サイトは主張。「他国の文化や信念に対する基本的な常識や尊敬の念の持ち主である限り、わが国が過去28年間、受け入れてきた数千人の友人と同様に、いつでも歓迎される。文化、スポーツ、科学、ビジネスにおける交流を楽しんでほしい」とアピールしている。

近年、北朝鮮は急成長する観光業を後押しするため、人権侵害が横行する核武装した独裁国家というイメージを払拭しようとしている。観光客誘致のキャンペーンを開始したのは90年代で、当時は深刻な飢饉で臨時収入を得ることが目的だった。

会議の目玉は観光旅行

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は権力を掌握すると、平壌市内の紋繍ウォーターパークや東部沿岸の都市元山の葛麻リゾート、近郊の馬息嶺スキー場などに多額の投資をした。

高句麗墓、白頭山など多くの観光名所の存在に加えて、北朝鮮は多くの国際スポーツイベントや会議を開催している。

今回のブロックチェーンと仮想通貨会議開催のニュースが最初に浮上したのは、アメリカの経済制裁を迂回するために北朝鮮政府がデジタル技術を使ったと欧米から非難されている時期だった。それでも、イメージチェンジの機会を作ろうとする北朝鮮の企ては阻止できなかった。

4月の会議には、多くの小旅行が用意されている。1日目は人民大学習堂や朝鮮戦争博物館、平壌外国語大学、中等学校をまわり、 2日目は南部の開城市、板門店、最近設置された南北連絡事務所を訪れる。別の日のツアーの参加者は主体思想塔、金日成広場、スケートパーク、ボーリング場、射撃場、ショッピングに連れていかれる。

北朝鮮の厳しい情報統制のため、犯罪率に関する信頼できる数字を入手することは困難だ。だが当局とのトラブルで外国人が被害にあった数々の事件は、北朝鮮のイメージを傷つけてきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダ首相、対ウクライナ25億ドル追加支援発表 ゼ

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中