最新記事

アメリカ政治

トランプの外交政策、民主党の下院奪還でどう変わるか

2018年11月12日(月)09時13分

11月7日、米中間選挙で下院を奪還した民主党は、これまでトランプ大統領(写真)の外交政策に対して共和党が取ってきた不干渉的なアプローチを大きく転換し、ロシアやサウジアラビア、北朝鮮に対してより強硬な対応を求めるだろう。ワシントンで撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

6日の米中間選挙で下院を奪還した民主党は、これまでトランプ大統領の外交政策に対して共和党が取ってきた不干渉的なアプローチを大きく転換し、ロシアやサウジアラビア、北朝鮮に対してより強硬な対応を求めるだろう。

下院外交委員会を率いることになるエリオット・エンゲル民主党議員は、イラクやシリアなどにおける軍事力行使に対しても、議会の承認を求める可能性を示した。一方、中国やイランといった重大な問題に関しては、現状打破する手段が、ほとんどないことを認めた。

民主党は多数派として、下院でどの法案を審議するかを決めたり、財政政策や政策立案において大きな役割を担うことになる。

「政権が出してきたものだからという理由で反対すべきだとは思わないが、政策を見直し、監督する義務がわれわれにはある」と、エンゲル議員はロイターとの電話インタビューで語った。

法案通過には共和党が支配を続ける上院との協力が不可欠だが、民主党は、外交や軍事、情報に関する委員会を下院で率いるため、公聴会を開催して、必要とあれば証人を召喚する権限などにより、最大の影響力を発揮することになる。

以下に、民主党の下院奪還によって、米国の外交政策がどのように変わる可能性があるのか見ていこう。

●民主党はロシアをどう見ているか

民主党議員たちは、トランプ大統領とロシアとのビジネス上のつながりや利害衝突の可能性を巡る調査など、ロシア関連の調査を行う計画だ。

政策的な観点から言えば、民主党率いる下院は、米選挙への干渉やウクライナへの軍事侵攻のような行動、シリア内戦への関与を理由にロシアに対する懲罰を求めるだろう。

下院は追加制裁を求め、その中にはロシア債を標的にした措置も含まれる可能性がある。また、昨年8月にトランプ大統領が渋々署名したロシア制裁強化法案に含まれるすべての制裁を実行に移すよう大統領に圧力をかけようとするだろう。

米議会議員たちはまた、昨夏の米ロ首脳会談に関する情報を得るため、必要とあれば調査権限を行使するなど強硬な手段に出ることも辞さない。ホワイトハウスは同会談の一部については公表している。

「そのようなハイレベルの首脳会談が行われて、その中味について議会が知らぬ存ぜぬというのはばかげた話だ」とエンゲル議員は言う。

2016年の米大統領選におけるロシア介入疑惑について、同議員は「まったく解決していない」と話した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザの学校に空爆、火災で避難民が犠牲 小児病院にミ

ワールド

ウクライナ和平交渉、参加国の隔たり縮める必要=ロシ

ビジネス

英総合PMI、4月速報48.2 貿易戦争で50割れ

ビジネス

円債は償還多く残高減も「買い目線」、長期・超長期債
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 3
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 4
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「…
  • 5
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 6
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 7
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 8
    なぜ世界中の人が「日本アニメ」にハマるのか?...鬼…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中