最新記事

アメリカ政治

中間選挙で下院敗北の米共和党 さらに「トランプ色」に染まるか

2018年11月8日(木)14時45分

11月6日、米中間選挙で下院の過半数を失った与党共和党には、トランプ大統領の挑発的な論調や強硬なアジェンダの下で一体化する、さらに「トランプ色」の強い議員たちが残ることになる。写真はワシントンで、ガラスに写った連邦議事堂

6日投開票の米中間選挙で下院の過半数を失った与党共和党には、トランプ大統領の挑発的な論調や強硬なアジェンダの下で一体化する「トランプ色」の濃い議員たちが残ることになる。

下院の議席を守った穏健派の同党議員からは、今回の結果は、選挙戦中盤で不法移民に対する容赦ない攻撃に集中したトランプ戦略の失敗だとの批判が出てくるかもしれない。だが、こうした声は少数派にとどまるだろう。

中間選挙では、民主党が8年ぶりに下院の過半数を奪還する一方で、上院は共和党が多数派を維持する見込みだ。来年1月から「ねじれ」議会となる。

議席を失った共和党議員の多くは、郊外選挙区の穏健派で、トランプ大統領とその過激な論調からある程度距離を置こうと努めていた。だが結局、選挙に敗れてしまった。これに伴い、縮小した共和党議員の中核となるのは、トランプ支持が圧倒的な地方区から選ばれた保守派だ。

つまりは、トランプ大統領はトランプ流のままでいるだろう、ということだ。党内の一部からは、選挙での敗北の責任を問う声も上がるだろうが、上院での優位を維持したことを考えれば、大統領に造反を企てるほど大胆になるとは考えにくい。

過去2年間、トランプ大統領は炎上覚悟のスタイルを改めようとしたり、融和的な姿勢に転じたりする兆候をほとんど示してこなかった。トランプ氏は、自分が共和党内で、文句なく最も人気のある政治家であることを自覚している。

これから、トランプ大統領はこれから自らの再選に向けた取組みを本格的に始めるわけだが、その際、熱心な支持者で構成される自らの地盤を活性化させるために、あらゆる手を尽くすことになるだろう。

これはつまり、たとえ民主党からの抵抗がいっそう強まるとしても、不法移民や保護貿易主義といった激しい議論の的となるテーマを優先する、自らの「米国第一主義」を推進していく可能性が高いということだ。また一方で、保守的な財政・社会政策、国家安全保障を特徴としていた共和党内においても、トランプ流の劇的な党改革が加速される。

例えば、米国の対メキシコ国境沿いに「壁」を築く予算を民主党は承認しないだろうと分かっていても、トランプ大統領はあいかわらずこの問題を提起し続けるだろう。実のところ、下院民主党を格好の「敵役」に仕立て上げる上でで、このテーマの政治的効果がいっそう高まるとトランプ氏が考える可能性もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏「グローバリゼーションは時代遅れ」、新興

ビジネス

5月実質賃金2.9%減、5カ月連続 1年8カ月ぶり

ビジネス

インド、米自動車関税に対抗し報復関税 WTOに通知

ワールド

関税引き上げ8月1日発効、トランプ大統領「複数のデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中