最新記事

キャッシャーフリー

「Amazon Go」対抗、キャッシャーフリーのウォルマートの実験店舗はここまでやる

2018年11月2日(金)15時20分
後藤文俊(アメリカ流通コンサルタント)

ウォルマートが発表した新コンセプト店「サムズクラブナウ」

<アメリカでは、スマホアプリで自動決済できるキャッシャーフリー店舗「Amazon Go」が話題だが、世界最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマートが、キャッシャーフリー店舗をさらに進化させた新コンセプトの店舗をオープンさせる>

ウォルマートは10月29日、テキサス州ダラス地区に新コンセプトの「サムズクラブ・ナウ(Sam's Club Now)」を11月にオープンすることを発表した。サムズクラブは、ウォルマートが設立した会員制のスーパーマーケットだが、以前から展開していた「スキャン&ゴー(Scan & Go)」などのテクノロジーをさらに進化させた小型会員制倉庫型店舗「サムズクラブ・ナウ」を試験的にオープンする。

サムズクラブで展開してきたキャッシャーフリーシステム

サムズクラブでは2016年10月から全店で「スキャン&ゴー」を展開してきた。このスキャン&ゴーは、スマートフォンにダウンロードしたアプリでお客自身が商品バーコードをスキャンしながら買い物を行うシステムだ。

使い方はサムズクラブのスキャン&ゴーのアプリをダウンロードし、会員番号を撮影などで入力し、クレジットカード(もしくはデビッドカード)情報も登録しておく。買い物するときは、アプリを開いて購入する商品のバーコードをスキャンしていくだけだ。

スキャンした商品は商品画像と商品名、数量がリストに入る。商品バーコードのスキャニングによる認識はスムーズでスピードも速い。仮にバーコードを読み間違いしてもリストにある商品を左へスライドすれば、赤色の「削除(Remove)」ボタンが現れるので、それをタップするだけで簡単に削除できる。同じ商品を複数購入する場合では、リストに入った商品をタップすると数量を入力できる。

goto1102a.JPG

スキャン&ゴーアプリで商品のバーコードを読み込む

goto1102b.JPG

読み込むと画像付きでカートに入る

goto1102c.JPG

決済はアプリ上で行う。チェックアウトのワンタップのみだ。レジに並ぶ必要はない

goto1102d.JPG

チェックアウト後はQRコードが表示される

goto1102e.JPG

QRコードを出口のチェッカーの端末にスキャンさせて商品を確認してもらう

また買い物途中で消費税込みの合計金額の確認も可能だ。予算内で買い物する場合にも便利になっている。買い物が終われば、アプリ上で「チェックアウト(決済)」を行う。レジを素通りできるため、売り場でも商品を買い物袋に入れることが可能だ。あつあつのロテッサリーチキンから、冷たいアイスクリームもその場で保冷バッグに入れることができるのだ。外へ出る前のレシートチェックでは、出口にいるチェッカー係りにアプリ上にあるQRコードをスキャンしてもらうだけとなる。

チェッカーがもつ端末スクリーンに購入した商品が映し出されるため、チェッカーがカート内の商品を1品毎確認する。なおレシートはeレシートでアプリ上に保管されることになる。eレシートが履歴として残るため、返品も容易だ。スキャン&ゴーは使いやすさから絶賛されており、アップルのApp Store(アップストア)では2.4万人が5ツ星レビューで4.9としており、店アプリではパーフェクトな評価を得ている。

同じくキャッシャーフリーとなる「アマゾンゴー(Amazon Go)」では、入店時にアプリにあるQRコードをゲートでスキャンするだけで、あとは商品を持って出ていくだけだ。アマゾンゴーの課題は店からでた直後に買い物金額を確認できない点だ。ゲートから出てレシートが届くまで5分〜10分間、保留状態となる。金額がわからないのでややすっきりしない状態となる。筆者の知人が買い物したとき保留状態が1時間もあった。また、買い物中も合計金額の確認はできない。アップストアのアマゾンゴー・アプリのレビューでは4.6の評価だ。

(参考記事)レジなしコンビニ「Amazon Go」レポート あまりにスムーズで戸惑う人続出

いよいよ、「サムズクラブ・ナウ」

一方、サムズクラブは商品のバーコードをスキャンする必要があるが、買い物途中でも消費税を含んだ合計金額を確認できて、チェックアウト後の保留状態もない。そしていよいよ、ウォルマートはアマゾンゴーに匹敵するキャッシャーフリーストア「サムズクラブ・ナウ」をオープンする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中