最新記事

銃規制反対

「ユダヤ人が銃を持っていればホロコーストは起きなかった」──銃所持擁護団体

Pro-Gun Group Used Holocaust to Attack Rabbi

2018年10月31日(水)17時00分
ダニエル・モーリッツ・ブラソン

権力は自らの手に──テキサス州の銃規制反対派「大っぴらに銃を持ち歩こう」のメンバーたち(9月24日) Loren Elliott-REUTERS

<米ピッツバーグのユダヤ人乱射事件の後、トランプ米大統領は「施設が武装していれば、こういう結果にはならなかった」と言った。勢いづいた銃規制反対派は、反ユダヤ主義を唱え始めた>

米ピッツバーグでのユダヤ教礼拝所襲撃の衝撃も冷めやらないなか、銃所持を支持する団体が「人々が武装していればホロコーストは起きなかった」という趣旨の発言をし、ユダヤ人と銃規制派の猛反発を招いている。

オレゴン州で「州唯一の、妥協なき銃所持権の擁護団体」を名乗る銃所持推進団体「オレゴン州銃器連盟(OFF)」は、ウェブサイト上にホロコーストの写真を掲載し、ユダヤ教のラビ、マイケル・カハナを批判した。

カハナは、オレゴン州における銃規制法案のまとめ役。一時は、2018年の住民投票にはかけられる予定だった。

OFFの文章には、こう書かれている。「このページは、マイケル・カハナ『ラビ』に捧げる。ユダヤ教のラビであり、IP43法案の請願責任者である人物だ。IP43が住民投票で可決されれば、法を遵守するオレゴン州民の所持する銃器や弾倉が没収されることになる」

「もしカハナやその支持者たちの好きにさせたら、最新の銃を持つ人は誰であれ、10年間の拘禁刑に直面することになる。カハナが望んでいるのは、州が独占的に武力を握ることだ。どうやら、ユダヤ教学校ではもはや歴史を教えていないようだ。我々は既に、この光景を目にしたというのに」。そのあとに、ホロコーストの写真が掲載されている

人々が武装を解いたらどうなるか

ユダヤ人が銃で武装していたらホロコーストは起きなかったという意味かと尋ねると、OFFのケビン・スターレット理事は本誌に対してこう答えた。「人々が撃ち返していたら、『水晶の夜(一夜の反ユダヤ主義暴動)』が夜通し続くことはなかっただろう。簡単な話だ」

「ラビは、同胞たち(そしてほかのあらゆる人たち)から武器を取り上げることを求め、州に権力を独占させようとしている。そんなことをしたらどうなるかを人々に思い出させている」

銃規制を支持する団体「撃つのを止めよ、オレゴン」ペニー・オカモト事務局長は、「第二次大戦中にユダヤ人が標的になったのは、彼らが銃を持っていなかったからではなく、コミュニティの指導者や政府のスケープゴートに使われ、憎悪が是認されたからだ」と言う。「銃があれば反ユダヤ主義的行動を防げたと言うともっともらしいが、銃こそが悪への対抗策だという神話を存続させるだけだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン作戦、目標達成に時間 終わりなき戦争ではない

ワールド

原油価格は高止まりへ、ホルムズ海峡の供給懸念で=ア

ワールド

AWSのUAEデータセンターに物体衝突で火災、湾岸

ビジネス

米ISM製造業景気指数、2月ほぼ横ばいの52.4 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 5
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 6
    【トランプ関税はまだ序章】新関税で得する国・損す…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中