最新記事

サウジアラビア

サウジ投資会議ボイコット相次ぐ ムハンマド皇太子の経済改革、政治リスクの影広がる

2018年10月23日(火)11時04分

 10月19日、サウジアラビアの反体制記者ジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ領事館を訪問後に死亡した事件を巡り、欧米の多くの金融機関トップや政府高官らが今週サウジで開催される経済投資フォーラム「未来投資イニシアチブ」の参加見送りを決めた。写真はカショギ氏の写真を掲げて同事件に抗議するインドネシア人記者。ジャカルタで撮影(2018年 ロイター/Beawiharta)

サウジアラビアの反体制記者ジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ領事館を訪問後に死亡した事件を巡り、欧米の多くの金融機関トップや政府高官らが今週サウジで開催される経済投資フォーラム「未来投資イニシアチブ」の参加見送りを決めた。

西側としてはサウジの政治リスクが高まっていることを改めて認識させられた形で、長期的に同国の外資誘致や脱石油依存に向けた改革の取り組みを損なう要素となりかねない。

欧米企業は今後、サウジとの新規事業の大半を手控える公算が大きい。同国と取引することで生じる悪評や、欧米政府が何らかの制裁を発動した場合に対象になる事態を懸念しているためだ。

これらの企業によるサウジへの投資だけでなく、サウジの政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」の海外投資もストップするかもしれない。

ユーラシア・グループの中東問題責任者Ayham Kamel氏は「ほとんどの西側企業は、カショギ氏の事件を踏まえてサウジ向け事業の見直しを迫られるだろう」と語った。

もっとも新規事業凍結の動きは、数カ月もすれば下火になる可能性がある。多くの西側企業にとって、サウジに保有する権益はあまりにも大きく、同国との縁を完全に切ることはできない。

例えばブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、未来投資イニシアチブへの欠席を表明しながらも、長年築いてきたサウジとの関係自体は維持するとの考えを示した。

キャピタル・エコノミクスのシニア新興国市場エコノミスト、ジェーソン・ダビー氏は「特に米国がカショギ氏の事件についてサウジ政府による幕引きを後押ししているように見える点を踏まえると、年が明ければほとぼりは冷め始めるだろう」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国空母2隻が太平洋で同時活動、「拡張的企図」と台

ワールド

米国防総省、空軍のF35巡る議会要求を半減=ブルー

ビジネス

中国自動車メーカー、サプライヤーへの支払いを60日

ビジネス

日中欧など、米政権に航空機・部品追加関税見送りを要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 5
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 6
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 7
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 8
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 9
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 10
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中