最新記事

アメリカ政治

中間選挙へ共和党候補が警戒する「トランプ」という踏み絵

2018年10月16日(火)17時15分

下院の激戦区56区のうち、共和党議員が出馬しているのはその3分の1以上に当たる19区だが、ロイターの分析によれば、今年になって彼らの選挙活動用ウェブサイトやツイッター、フェイスブックにおいて、トランプ氏を支持するコメントは見られない。

この傾向は、最も裕福な激戦区10区において特に深刻だ。これら選挙区の共和党候補のうち、ウェブサイトやソーシャルメディアでトランプ支持を表明しているのはわずか4人だけだ。一方、平均所得が最も低い激戦区10区では、8人の候補がトランプ支持を表明している。

激戦区における共和党候補のウェブサイトやソーシャルメディアの投稿をロイターが分析した結果、いかに激しい競争圧力に直面しているかが明らかとなった。共和党の支持基盤は、トランプ氏を批判する候補や、同氏とは反対の政策を望む穏健派や独立派を締め出している。

大統領について沈黙を守っている共和党現職議員の多くは、トランプ政策法制化の大半を支持しているが、表立ったトランプ支持は表明しておらず、デリケートな綱渡りを続けている。

「ドナルド・トランプ氏がすべてを支配している」──。富裕層の多い郊外選挙区の下院議員候補数人に助言している共和党の世論調査専門家、ウィット・エアーズ氏はそう語る。

エアーズ氏は候補者たちに対し、トランプ支持の表明を避けるだけでなく、大統領に対する批判も避けるよう助言している。大統領には触れないよう会話して、「その選挙区の価値や利益のために、共和党候補がいかに適しているかを強調」することが大事だ、と同氏は語った。

トランプ大統領は8月以降、下院候補10人以上の応援に立っている。それら候補の中には、低所得世帯の多い激戦区候補数人も含まれている。大統領は今後も、下院候補のためにイベントを予定している。

トランプ大統領の政治局長ビル・ステピエン氏は、1日付の内部メモで、大統領支持を表明しない共和党候補は、国家の方向性を支持する人たちに大統領がもたらした熱狂を活用できないと警鐘を鳴らした。

共和党支持者は下院選への関心において、民主党に遅れをとっていると同氏は指摘。「これまで投票しなかった有権者に投票させる」トランプ氏の能力を称賛した。

同氏はまた、勝つためには、候補者はトランプ氏とその政策に「明確かつ力強く同調する」必要があると述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ブラジル大統領選、ボルソナロ氏が長男出馬を支持 病

ワールド

ウクライナ大統領、和平巡り米特使らと協議 「新たな

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中