最新記事

米中貿易戦争

トランプの対中制裁関税第3弾、「負のブーメラン」が本丸の自動車へ

U.S. Car Prices Set to Increase Due to Trump’s China Tariffs, Experts Warn

2018年9月20日(木)13時57分
ジェイソン・レモン

トランプの対中制裁は自分の首を絞めている(ミシガン州のフォードの組み立て工場) Rebecca Cook-REUTERS

<中国製の自動車部品に関税をかければ、アメリカの自動車価格がどれだけ上がるか予想もつかない。自動車産業「負のスパイラル」が始まるおそれも>

トランプ政権が9月24日に対中制裁第3弾を発動すれば、アメリカの消費者が購入する自動車の価格が上がるとアナリストが警告する。トランプはすでに500憶ドル相当の中国製品に追加関税をかけているが、次は2000億ドル規模の中国製品に追加関税が行われ、日用品や自動車部品も対象になる。

アナリストらは、新車購入を検討している人は、年内に買ったほうがいいと忠告。追加関税で米自動車業界の「負のスパイラル」が始まるおそれもあると警鐘を鳴らしている。タイヤからブレーキパッド、エンジン、バッテリーまで、あらゆる部品に10%の関税がかかれば、自動車の価格がどの程度上がるか予想もつかない。ただ、価格上昇が避けられないことは確かだ。

「自動車産業は『もう勘弁してくれ』と叫びたいはずだ」と、自動車メーカーとサプライヤーの顧問を務めるエコノミストのジョン・ガブリエルセンは9月18日にデトロイトの新聞に語った。

「この決定に希望を持てと言われても無理だ」と、自動車研究センター(ミシガン州)のクリスティン・ジチェクは言う。「(中国製品に)関税を課せば、アメリカの消費者にツケが回る。あらゆるコストが上がるため、価格への転嫁は避けられず、販売は落ち込むだろう。利益は減り、投資も冷え込み、負のスパイラルが始まる。良くない状況だ」

【関連記事】米中貿易戦争第3ステージへ 慌てぬ中国、トランプは勝てるのか
【関連記事】トランプ貿易戦争の新たな犠牲──ニューイングランドでロブスターが食べられなくなる

大豆農家に続く犠牲者

中国はトランプ政権の攻勢が静まるまで、「じっと耐える」とジチェクはみる。「中国だけを叩いても、問題は解決しない。アメリカの雇用が回復するわけでもない」

自動車産業が盛んなミシガン州のリック・スナイダー知事(共和党)は、追加関税で州経済は打撃を受けると警告。「自動車の価格上昇は深刻な懸念材料だ」と、18日にCNBCに語った。

米中貿易戦争がエスカレートするなか、スナイダーは今週、中国を訪問。王志剛(ワン・チーカン)科学技術相と会談し、自動運転車をはじめ自動車技術の研究開発で協力体制を強化することで合意した。

「アメリカ人は今も中国を訪問し、関係を築くことの重要性を知っている。さまざま問題が解決され、再び米中貿易が活発になることを誰もが望んでいる」と、スナイダーは英字紙サウスチャイナ・モーニングポストに語った。

ドナルド・トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争で、アメリカのほかの産業部門は既にあおりをくらっている。今年7、8月に発動された第1、第2弾の対中制裁で500億ドル規模の中国製品に関税が課されると、中国はそれに相当する額の米国製品に報復関税をかけた。「目には目を」の報復合戦で、真っ先に痛手をこうむったのはアメリカの大豆農家だ。

「壊滅的なダメージだ」と、オハイオ州の大豆農家クリス・ギブズは8月にCNBCに語った。「米国産大豆の価格は20%も下落した」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独海運ハパックロイド、イスラエルのZIMを42億ド

ワールド

暗号資産レンディングのネクソが米国事業に再参入、バ

ワールド

EU主権強化へ各国は妥協必要、国益の影に隠れるべき

ワールド

ゼレンスキー氏、ロシアが大規模攻撃準備と警告 和平
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 2
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中