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高齢ドライバー問題は、日本の高度経済成長が生んだ!?

2018年7月31日(火)17時00分
印南敦史(作家、書評家)


ドライバーが高齢化することにより生じる問題はマイカーの運転だけであろうか? 実は、現在の我が国には、バスやタクシー、トラックなどの商用ドライバーの高齢化と人手不足というもう一つの大きな問題が存在するのである。こちらの問題解決にこそ、自動運転技術は積極的に活用されるべきではないだろうか。そもそも、自動運転は人の移動のためだけに研究されているわけではない。物流も自動運転における大切な分野のひとつなのである。(224ページより)

アマゾンなどインターネット通販の利用率が爆発的に増加したため、宅配ドライバーの労働環境が悪化していることは数年前からメディアでも頻繁に報じられている。急激に増大する荷物量に対して運転手が足りな過ぎるという話はしばしばクローズアップされてきたが、実はそこにドライバーの高齢化も絡んでおり物流そのものが危機に瀕しているわけだ。

そうなると必然的に自動運転に対する期待感が高まるが、それ以上の視点を持つことの重要性を伊藤は強調している。政府が「一億総活躍社会」を目指すのであれば、自動運転によって高齢ドライバーを排除するのではなく、自動運転や運転支援技術を活用し、高齢ドライバーをより安全に、より有効に活用することが望ましいというのである。

そして、そのために必要なのは、従来の縦割り行政の弊害を解決し、健康や生きがいといった視点を、経済性、安全性、環境への配慮といった課題と合わせて議論する環境づくり。いわば、世界一の超高齢化社会を好機と捉え、高齢ドライバー問題をチャンスに変えること、それができれば、少子高齢化によるさまざまな問題を強みに変えていけるという発想である。


『高齢ドライバー』
 所 正文、小長谷陽子、伊藤安海 著
 文春新書

[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。新刊『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)をはじめ、ベストセラーとなった『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。

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