最新記事

貿易戦争

米ムニューシン財務長官「中国の人民元為替操作の兆候注視」

2018年7月23日(月)08時24分

7月20日、米国のムニューシン財務長官はロイターとのインタビューで、人民元安を牽制、為替操作の兆候が無いか注視していることを明らかにした。サンパウロで20日、インタビューに応じるムニューシン財務長官(2018年 ロイター/Nacho Doce)

米国のムニューシン財務長官はロイターとのインタビューで、人民元安を牽制、為替操作の兆候が無いか注視していることを明らかにした。

10月15日に公表を予定する半期毎の為替報告書とりまとめの一環として、人民元安を精査するという。

長官は中国が米国との通商問題で為替を武器として利用しているかもしれないと懸念しているかとの質問に対し、「武器か武器でないかといっているわけではない。通貨安が不公平な利益をもたらすことは疑う余地が無い」と指摘。「為替操作を行ったかを非常に注意深く精査していく」と述べた。

トランプ氏は大統領就任後すぐに中国を為替操作国に認定するとしていたが、財務省は認定しておらず、トランプ大統領自身も2017年4月に中国は為替操作国ではないとしていた。

ムニューシン長官は、中国が為替操作国ではないとしていた一因として、人民元が今年初めまで上昇または安定的に推移していたためとした。

またブエノスアイレスでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、主要7カ国(G7)と中国の非市場的な経済政策について協議すると述べた。

ドル高は米国にとって長期的に重要としつつ、短期の問題に関するコメントは控えた。

大統領が、連邦準備理事会(FRB)やパウエル議長の独立性を尊重しているとの認識も示した。

中国が意味のある変化を遂げることに誠意をみせるなら、同国と貿易面で合意する用意があると言及した。

合意には米国の知的財産権保護のほか、技術移転や合弁事業の強要を止め、中国で米国企業が公正に競争できる機会が必要との考えも示した。

長官は外資系による米国企業買収などの規制強化に向けた最終法案で米議会が合意したことを確認した。最終法案は満足できる内容になったとし、詳細は示さなかったが特定の国をターゲットにしているわけではないと述べた。

また適切な解決策が見つかれば、ロシアのアルミニウム大手ルサールに対する制裁を加除する余地があると指摘。ルサールを倒産に追い込むことがトランプ政権の目的ではないと述べた。

[サンパウロ 20日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米地裁、テキサス州の選挙区割りを一時差し止め 共和

ワールド

米フリーポート、来年7月までにグラスバーグ鉱山再開

ワールド

WHO、来年6月までに職員2000人以上削減へ 米

ビジネス

メタがアプリ買収巡る反トラスト法訴訟で勝訴、地裁は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中