最新記事

宇宙

ハッブル宇宙望遠鏡の夢の後継機、開発が大幅に遅れて、コストも天文学的に

2018年7月9日(月)18時50分
鳥嶋真也

大きく遅れた開発と増加するコスト

しかし、その開発は困難を極め、大幅なスケジュールの遅延とコスト増加を招いた。

計画は1996年に立ち上がり、2002年に製造会社としてノースロップ・グラマンが選ばれた。この時点で打ち上げは2010年、コストは約25億ドルの予定だった。

ところが開発を進める中で、数々の技術的課題にぶち当たった。

たとえば望遠鏡の大きさは、ハッブルでは直径2.4mだったが、JWSTは直径6.5mととても大きくなっている。機体全体もテニスコートほどの巨体でもある。

さらに、ハッブルのような筒の中に鏡が入った望遠鏡とは違い、JWSTは18枚の六角形の鏡を折りたたんだ状態で打ち上げ、宇宙でそれらを展開してひとつの大きな鏡を作り出す、という複雑な構造をしている。この鏡がきちんと展開し、それぞれの精度も許容範囲に収まらないと、研究者が計画しているような観測ができない。

また、赤外線を観測するために機体を冷却したり、太陽や地球からの光を遮る必要があったりと、ハッブルにはない、そればかりかこれまでに前例のないような技術や装置が必要になった。

6月28日に明らかにされた調査資料などによると、こうしたJWSTそのものの複雑さに加え、開発や試験におけるヒューマン・エラーや、組み立てミスも起きたことも影響しているとされる。これらは技術者らの経験不足からきているという。さらに、こうした遅れの可能性などを見誤ったために、スケジュールもコストも大きく超過する事態になったという。

nasa0709003.jpgJWSTの肝となる反射鏡。その開発は困難を極めた (C) NASA/Desiree Stover

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

日経平均は大幅続落、1700円超安 中東情勢緊迫化

ビジネス

UBS、資本改革巡るロビー活動抑制を スイス議会が

ワールド

アングル:中東情勢が安保3文書改定に影響も、米軍の

ビジネス

日銀、3月会合で政策金利据え置く可能性 利上げ姿勢
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 5
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 6
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 7
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 8
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 9
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中