最新記事

景気

2019年10月消費税10%に向け景気対策 安倍首相「5兆円規模」構想か

2018年5月23日(水)17時30分

5月23日、2019年10月の消費税率10%への引き上げに向け、政府は需要変動対策の検討に乗り出した。写真は一万円紙幣と硬貨。2006年3月撮影(2018年 ロイター/Toshiyuki Aizawa)

2019年10月の消費税率10%への引き上げに向け、政府は需要変動対策の検討に乗り出した。14年の増税時に事前の想定を上回って、景気が落ち込んだことに対する「反省」があるためだ。首相官邸には5兆円規模の対策の構想も浮上しているとみられるものの、財政規律に配慮した対応も求められることから、規模の調整は曲折が予想される。

増税への警戒感強い首相官邸

関係省庁の職員が参加した「消費税率引上げによる需要変動の平準化に関するタスクフォース」。その席上、内閣府幹部が配布した「検討事項」と題した1枚の資料には、税率引き上げ後の住宅減税や「すまい給付金」の拡充などの具体策が並んだ。

今年6月に策定する「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)に、需要変動対策の考え方を反映させ、詳細は年末にかけて調整する方向だ。

来年に予定される増税幅は2%で、前回と比べて「個人消費や成長率の下押し効果は、小幅なものにとどまる」(黒田東彦日銀総裁)との見方がある。

日銀が4月に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」によると、来年の税率引き上げに伴う増税額は約5.6兆円だが、軽減税率の導入や教育の無償化措置などにより、差し引きの家計負担は2.2兆円程度になると推計。14年の約8兆円に比べれば、負担は軽くなる見通しだ。

それでも、増税に対する首相官邸の警戒感は根強いとみられる。16年6月に安倍晋三首相が2度目の増税延期を決断する前、財務省は、増税を実施する代わりに消費税2%分に相当する5兆円規模の経済対策を打つ案を持ちこんだが、それでも増税の実現には至らなかった。

官邸筋によると「今でも首相の頭には、増税実施なら5兆円の対策、との考えがある」という。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・サウジ経済協定に署名、米製武器の大規模購入も 

ワールド

ロシア、ウクライナと真剣な協議の用意=外務次官

ワールド

米政権のウィットコフ・ケロッグ特使、15日にトルコ

ワールド

プーチン氏との直接会談が和平への唯一の道、ゼレンス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 3
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 6
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 7
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 8
    トランプは勝ったつもりでいるが...米ウ鉱物資源協定…
  • 9
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 8
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中