最新記事

米朝関係

米国務長官「北朝鮮とは核放棄の前提条件なしで直接対話の用意」

2017年12月13日(水)12時00分

12月12日、ティラーソン米国務長官(写真)は、北朝鮮と前提条件なしで直接対話する用意があると述べた。(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

ティラーソン米国務長官は12日、北朝鮮と前提条件なしで直接対話する用意があると述べた。核放棄を対話の条件としていた従来の姿勢を修正したとみられる。

長官はワシントンのシンクタンクで講演し「とにかく会おう」と発言。「向こうが望むなら天気の話をしてもいい。ラウンドテーブル(丸い机)にするか、四角い机にするかを話してもいい」と述べた。

「その上で、どのような方向に向けて進んでいくか、ロードマップの設計を始めることができる」とし、初回の会合で公式協議の基本ルールを決めることを提案した。

長官は、北朝鮮の核保有は容認できないとの従来の立場を改めて表明した上で「(北朝鮮が)対話の準備を整えれば、いつでも対話に応じる用意がある」と発言。ただし、北朝鮮は従来の軌道を修正する意向を持って対話に臨むべきだと主張した。

トランプ米大統領がティラーソン長官の方針を全面的に支持しているかは不明。同長官は、政権内で影響力が低下しているとみられている。

ティラーソン長官は以前にも、外交ルートを通じて北朝鮮問題を解決する意向を示していたが、トランプ大統領は10月、対話は時間の無駄とコメントしている。

北朝鮮は、米本土を射程に収める核弾頭ミサイルを開発するまで米国との交渉には応じない姿勢を示している。専門家の間では、そうしたミサイルはまだ開発できていないとの見方が多い。

ティラーソン長官は「前提条件なしで初回の会合を開く用意がある」と発言。「プログラムを放棄する用意がなければ対話に応じないというのは現実的ではない。(北朝鮮は)多額の投資を行っている。その点は大統領も非常に現実的だ」と述べた。

ティラーソン長官は、北朝鮮に対する国際的な制裁の履行を強化するため、作業を進めているとも発言。特に中国はさらなる措置を履行できるとの立場を示した。軍事的な対応が必要になれば、米国には様々な選択肢が揃っているとも述べた。

危機発生時に北朝鮮の核兵器利用をどう防ぐかについて、中国側と協議したことも明らかにした。米軍が北朝鮮領内に入った場合は、韓国側に兵士を帰還させることも中国に確約したという。

ただ長官は、平和的な外交を通じて北朝鮮問題を解決する意向を明確にした。

長官の講演後、ホワイトハウスは「北朝鮮に関するトランプ大統領の考えは変わっていない」とする声明を発表。「北朝鮮は危険な行動をとっている。北朝鮮の行為は、同国はもちろん、誰にとっても好ましくない」とし、トランプ大統領がティラーソン氏の講演内容を承認していたかどうか不透明感が漂う格好となった。

[ワシントン 12日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、海外機関投資家の市場アクセス緩和へ 証監会が

ワールド

独外相の訪中延期が波紋、関係悪化観測を両国が「火消

ワールド

イエメンで国連職員拘束、フーシ派が事務所襲撃 過去

ビジネス

米地銀で新たな再編、ハンティントンがケイデンスを7
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中