最新記事

北朝鮮問題

北朝鮮テロ支援国家再指定を中国はどう受け止めているか?

2017年11月22日(水)22時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

心の中で何を思うか、トランプ大統領と習近平国家主席(11月9日、北京) Damir Sagolj-REUTERS

中国特使の帰国と同時に、トランプ大統領は北朝鮮をテロ支援国家に再指定。また単独追加制裁の企業の中に中国企業がある。北朝鮮との交渉が芳しくなかった中国への援護射撃と圧力強化という二つの側面から考察する。

テロ支援国家再指定に関する中国の反応

習近平総書記の特使として17日から20日まで北朝鮮を訪問していた中共対外聯絡部の宋濤部長が、どうやら金正恩委員長との会談ができぬまま帰国した可能性が高い。少なくとも会談したという情報は流れていない。

本来ならアジア歴訪後に北朝鮮をテロ支援国家に再指定するはずだったトランプ大統領は、宋濤部長が帰国するのを待って北朝鮮をテロ支援国家に再指定することを閣議決定した。それは本当にギリギリまで待ったという感じで、20日から21日にかけた真夜中に、ワシントンにいる中国人の民主活動家から再指定に関するメッセージが届いた。

中国政府の通信社である新華社の電子版「新華網」ワシントン支局は、21日10:14更新版で、「アメリカが北朝鮮をテロ支援国家リストに再指定」という記事を掲載。ティラーソン国務長官が記者会見で「北朝鮮をテロ支援国家に再指定したことは大きな象徴的意味合いはあっても、実際上の影響には限りがある」と言ったと報道している。

日本の報道では「中国への圧力強化か」というニュアンスの報道が多いが、新華網の場合は「切り取り方」が異なる。新華網ではさらに、さまざまな大学の有識者の声を拾って、主として「北朝鮮を刺激するだけで、米朝間の緊張が高まるのではないか」といった類の解説も緩やかに展開している。

中国の外交部報道官は、「朝鮮半島は目下、非常に複雑でデリケートな状況にある。関係各方面は、情勢の緩和に利するよう、そして関係者が対話の席に戻り対話と協議を通して朝鮮半島問題を解決すべく行動すべきだ」と回答している。

テロ支援国家指定は、中国が北朝鮮と交渉する際の北に対する圧力の一つとなり得て、ある意味、トランプ大統領の習近平国家主席に対する援護射撃とも位置付けることができる。

アメリカの独自追加制裁、「中国企業も対象」に関して

アメリカの財務省は21日、北朝鮮への独自追加制裁として、北朝鮮の海運会社と船舶20隻のほか、北朝鮮と取引のある中国の貿易会社3社と個人一人を新たに制裁対象とした。

中国の企業名は「丹東科華経貿有限公司、丹東祥和商貿有限公司、丹東市鴻達貿易有限公司」で、個人名は孫嗣東。孫嗣東は丹東東源実業有限公司の経営者である。そのため「4社」という数え方もできるので、報道によっては「中国企業3社」というのもあれば、「中国企業4社」というのも見られる。孫嗣東はFBIが早くから追跡していた。また丹東の関係企業に関しては、中国自身もアメリカの協力を得ながら追跡してきた過去がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-米FRB、年内1─2回の利下げ

ワールド

北朝鮮、2月下旬に党大会開催 5年に1度の重要会議

ビジネス

米紙ワシントン・ポスト発行人が退任、大規模人員削減

ワールド

衆院選きょう投開票、自民が終盤まで優勢 無党派層で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本版独占試写会 60名様ご招待
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 6
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 7
    心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険…
  • 8
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 9
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中