最新記事

インド

イバンカを迎えるハイデラバードのホームレス大掃除

2017年11月21日(火)18時25分
クリス・リオッタ

大統領専用機エアフォース・ワンから降り立ったイバンカ Kevin Lamarque-REUTERS

<美しくパワフルなご婦人に汚いものは見せられない?>

インドの都市ハイデラバードでは、歩行者専用の立派なショッピング街の整備や物乞いの取り締まり、地元名所の安全確保が急ピッチで進められている。11月末にドナルド・トランプ米大統領の愛娘で大統領補佐官のイバンカ・トランプがやってくるからだ。

11月28日から同市で始まる「グローバル・アントレプレナーシップ・サミット」に出席することになっており、ハイデラバード当局は、市の象徴であるチャールミナール周辺の青空市場の準備を急いでいる。チャールミナールは、1591年に建設された同市で最も歴史がある建物だ。イバンカは11月28日、インドのナレンドラ・モディ首相とともにサミットに出席し、その翌日に同市で買い物や観光を行う予定となっている。

ハイデラバードは、3日間のサミットに先がけて、市内から物乞いを一掃しようとしている。伝えられるところによると、市当局は州刑務所と協力しているほか、ホームレスを通報した市民に報奨金を支払っている。ハイデラバード警察本部長マヘンダール・レディは11月に入ってから発表した声明の中で、「迷惑行為」を防止するために市内での物乞いは1月7日まで禁止すると述べた。

レディはさらに、「物乞いたちは、子どもや障がい者を使って、大きな交差点の周辺で施しを求めたり受け取ったりしている」と言い、「往来や一般歩行者の安全を脅かす行為だ」と述べた。

本当ではない町

ハイデラバードでは以前もたびたび、他国指導者が訪問した際に、物乞いが一時収容されてきた。2000年に当時のビル・クリントン米大統領が訪問した時にも、物乞いは厳しく取り締られた。イバンカの訪問を前に、同市ではこれまでになく厳しい警備が敷かれているとみられる。精鋭治安部隊は、イバンカの到着時と、予定されている観光地の間の詳細な警備計画を立てている。

ハイデラバード警察が、イバンカの訪問予定先周辺にある複数の地区で個別訪問を行って安全確認をする一方、テロリスト対策部隊は、サミット会場であるタージ・ファラクヌマ・パレスの警備に当たる。

インドの有力紙ヒンドゥスタン・タイムズによると、アメリカのシークレットサービスは、インドの警備部隊スペシャル・プロテクション・グループや、テランガーナ州警察の情報保安部、州内の警察署の連携を行うサイバラバード(Cyberabad)と協力し、訪問中のイバンカの安全確保に取り組んでいる。11月20日時点では、イバンカの宿泊先がサミット会場のパレスになるか、近辺のホテルになるかは明らかになっていない。

イバンカがどこに宿泊するのであれ、唯一わかっているのは、イバンカが目にするハイデラバードは、本当の姿とはまるで違ったものになるということだ。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港の高層複合住宅で大規模火災、13人死亡 逃げ遅

ビジネス

中国万科の社債急落、政府が債務再編検討を指示と報道

ワールド

ウクライナ和平近いとの判断は時期尚早=ロシア大統領

ビジネス

ドル建て業務展開のユーロ圏銀行、バッファー積み増し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中