最新記事

ペット

犬の外出時、口輪装着を義務づけるかで論争に 韓国最新ペット事情

2017年11月17日(金)21時22分
杉本あずみ

スーパージュニアのシウォンと事故を起こしたBUGSY

<K-POPアイドルの愛犬によるかみつき死亡事故をきっかけに、厳しい規制が検討されている韓国。そのペット事情とは?>

韓国の男性人気アイドルグループ「スーパージュニア」のメンバーであるチェ・シウォンの愛犬、フレンチ・ブルドックのBUGSYが隣人女性の脚を噛んでしまい、彼女は敗血症を発症して6日後に死亡するという事件が起こった。飼い主が人気アイドルだったこともあり注目された事件となったが、さらに亡くなった女性が韓国料理の有名な老舗「韓一館」の代表だったこともさらに話題を呼ぶきっかけとなった。もちろん、シウォンと父親のチェ・ギホはマスコミを通じてすぐに謝罪を表明し、シウォンは、先月末芸能活動を休止することをオフィシャルサイトで発表したが、この事件は様々な方面に波紋を呼んでいる。

まず、事件後すぐに、あるマスコミでこの犬を安楽死させるか否かのアンケートが実施され、これに対し「安楽死の選択は飼い主が判断することなのに不快だ」といった声が多く寄せられる騒動が起きた。また彼が所属するアイドルグループ「スーパージュニア」は、今月6日に新作アルバムを発表したが、これに伴うテレビ出演などの活動はシウォン抜きで行われることとなった。

そして今まで攻撃性のある6種類の犬種とその雑種以外、普通の犬の散歩時にはリードを付けること以外特に細かな規制がなかった韓国だったが、今回のこの事件を受け京畿道では、「15キロ以上の犬は口輪をはめる事」「リードの長さは2m以内とすること」という条例を設け、来年3月から実施することを発表。この条例を守っていない飼い主には、初回10万ウォン(約1万円)、2回目20万ウォン、3回目50万ウォンと段階を分けて罰金を徴収するという。

京畿道がこの規制を作った背景には、10月31日と11月1日の2日間、京畿道の住民1000人を対象にアンケートを実施したところ、なんと92%が「犬の外出時の口輪義務化」に賛成したからだ。また、これに対し、飼い主の88%がその結果に賛同した。「もしも、飼い犬が人を噛んだ場合の処罰をもっと重くするべきだ」の質問に対しては、京畿道民の81%が賛成。飼い主も67%が処罰の見直しに同意した。京畿道がこの調査を実施したのは、やはり今回の死亡事故で犬のかみつき事故が注目されたからだといえる。ただ、犬種や性格などを無視して体重をもとに規制する方針には強く反対する意見も出されて、条例改正作業は現在一時保留中となっている。


韓国SBSニュースはチェ・シウォンの愛犬がエレベーターでマンション隣人にかみつく様子が映った監視カメラの映像を放送した。 SBS / YouTube

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、零細事業者への関税適用免除を否定 大

ビジネス

加藤財務相、為替はベセント米財務長官との間で協議 

ワールド

トランプ米大統領、2日に26年度予算公表=ホワイト

ビジネス

米シティ、ライトハイザー元通商代表をシニアアドバイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中