最新記事

アメリカ政治

トランプの税制改革法案が下院通過 レーガン政権以来の抜本見直しへ一歩

2017年11月17日(金)14時30分

 11月16日、米議会下院は税制改革法案を賛成227、反対205の賛成多数で可決した。下院議員と話をするトランプ大統領、ホワイトハウスで9月撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

米議会下院は16日、税制改革法案を賛成227、反対205の賛成多数で可決した。法案の審議は今後、上院に移る。トランプ政権は、1980年代以来となる大規模な税制改革に向けた重要な一歩を踏み出した。

上院では既に、別案が一部の共和党議員からの反発に遭っており、来週の感謝祭休暇後まで、何らかの重要な動きが起きる可能性は低いとみられていた。

トランプ大統領は、1月の就任以来、立法において初めての主要な勝利を収めることを狙っている。大統領は採決の直前に議会へ出向き、共和党議員らに対し賛成票を投じるよう呼び掛けた。

下院のライアン議長(共和党)は、採決前に他議員らに対し「法案の可決は経済成長、機会復活、困窮する中間層家庭の支援にとってわれわれができる、単独としては最大の貢献だ」と述べた。

ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は可決後、「簡素で公正、競争力のある税制は、米国経済のロケット燃料となる。それが今、手の届くところにある。次は実行する番だ」と述べた。

無秩序に拡大した税制が連邦議会で抜本的に見直されるのは、レーガン政権下での1986年の税制改革法成立以来のこと。下院案はこの時ほど包括的な内容ではないものの、同改革法以来最も野心的な内容となる。

ただ、共和党の優位が微妙な上院での法案通過には、連邦予算の赤字、ヘルスケア、税制優遇の分配を巡る懸念に関する障壁が待ち構えている。反対する民主党が結束を貫いた場合、共和党議員3人(訂正)以上が反対に回っただけで否決となる。

下院案では10年間で連邦予算の赤字が約1兆5000億ドル増えると予想、所得税の税率区分を現状の7段階から4段階に簡素化するほか、法税率は現行の35%から20%に即時引き下げる。

さらに、州・地方税(SALT)などの控除を縮小または廃止する一方、不動産税の控除の上限を維持する。

民主党は、控除の廃止により数百万人の国民の税負担が増加するとの分析があると指摘。下院民主党トップのナンシー・ペロシ院内総務は「恥ずべき立法行為であり、共和党は思い違いをしている」と非難した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏「原発周辺への攻撃」を非難、ウクライナ原

ワールド

西側との対立、冷戦でなく「激しい」戦い ロシア外務

ワールド

スウェーデン首相、ウクライナ大統領と戦闘機供与巡り

ワールド

プーチン氏、ロは「張り子の虎」に反発 欧州が挑発な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中