最新記事

アメリカ経済

米トイザラス、破産法適用申請 ウォルマートやアマゾンに勝てず

2017年9月19日(火)16時34分

9月18日、米玩具販売チェーン最大手のトイザラスが、バージニア州の裁判所に連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。写真はニューヨークで2009年10月撮影(2017年 ロイター/Shannon Stapleton)

米玩具販売チェーン最大手のトイザラスが18日、バージニア州の裁判所に連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。専門小売店による適用申請としては過去最大級。通販やディスカウントストア増加の影響が小売業界に及んでいることが鮮明となった。

トイザラスは債権者から30億ドルを超えるつなぎ融資を受けることで合意したと説明。つなぎ融資はJPモルガンが主導する銀行団や既存の債権者が実施する。

この融資は裁判所の承認が必要だが、同社によると、実施されれば財務健全性が直ちに改善し、事業の継続を支援する見通しだという。

トイザラスのデーブ・ブランドン最高経営責任者(CEO)はつなぎ融資について「業務を制約してきた財務面の問題に長期的かつ効果的に対処するものだ」と述べた。

また「株主とともに、社債保有者やその他債権者と協力して50億ドルの長期負債およびバランスシートを再編することを目指す」と表明した。

同社のカナダ部門は、オンタリオ州上級裁判所で企業債権者調整法(CCAA)による保護を並行して申請。約255の認可店やアジアの合弁店など米国とカナダ以外の店舗における営業は、今回の破産法第11条やCCAAの手続きには含まれない。

世界各地にある「トイザラス」および「ベビーザラス」の店舗やネットストアの営業は通常通りとした。

トイザラスは約1600店舗と6万4000人の従業員を抱える。今回の申請は、売上高の大半を稼ぎ出す休暇時期を前にしてのタイミングとなった。

米国では今年、靴のディスカウント小売りチェーン、ペイレス・ホールディングスなど主要小売りチェーンによる破産法適用申請が10件を超える。メーシーズやシアーズ・ホールディングなど小売り大手も、ウォルマート・ストアーズやアマゾン・ドット・コムとの競争が激化する中、多数の店舗閉鎖を強いられている。

[18日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

クレディ・アグリコル、28年の純利益目標設定 市場

ワールド

中国の世界的な融資活動、最大の受け手は米国=米大学

ビジネス

S&P、丸紅を「A─」に格上げ アウトルックは安定

ワールド

中国、米国産大豆を買い付け 米中首脳会談受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中