最新記事

金正恩

ほころび始めた中朝関係 北朝鮮は中国に恥かかす機会うかがう?

2017年9月13日(水)09時03分

中朝関係が常に疑念と不信感で曇りがちな一方、中国は北朝鮮による挑発行動をまだましなものとして渋々大目に見てきた。中国にとって最悪なのは、北朝鮮が崩壊して国境から中国に難民がなだれ込み、朝鮮半島が米国の支援する韓国政府の支配下に置かれることだ。

それこそ、今回米国が提案したエネルギー禁輸といった極端な措置は北朝鮮の崩壊を招きかねないと中国が懸念し、相当な経済的影響力を行使するのに消極的な理由でもある。

代わりに、中国は冷静かつ抑制された、交渉による解決を繰り返し呼びかけている。

北朝鮮政府は、電子メールやファクス、電話でコメントを求める外国メディアが接触できる窓口を平壌に設けていない。北京にある北朝鮮大使館からも、コメントを直ちに得られなかった。

中国外務省も、ファクスによるコメント要請に対し回答しなかった。同省は「中国責任論」に対し繰り返し反発しており、緊張を解決するには当事国(北朝鮮、韓国、米国)が鍵を握っていると主張している。

封建時代

2011年に死去するまで、北朝鮮の金正日総書記は、後継者として自身が選んだ息子を確実に支援するよう、中国に何度も懇願していた。

当時の中国の胡主席がそれに報いようとするなか、20代後半だった正恩氏は、最も強力な同盟国と距離を置き始める。

「この若き指導者は知名度も低く、まだその真価も証明されてはいない。北朝鮮内には数多くの政治問題があり、彼は特に、中国の息のかかっていないことを証明しなければならなかった」

こう語るのは、韓国ソウルにある延世大学校のジョン・デラリー氏だ。「正恩氏は、胡錦濤氏、そして(現中国国家主席の)習近平氏を全く寄せ付けないようにしようと最初に決めたのだと思う」

政権の座に就いてから数カ月のうちに、正恩氏は、核保有国であることを宣言するため、憲法を修正することによって北朝鮮の意思を知らしめた。2013年に叔父を処刑したことで、この若き指導者に対する中国の不信感は決定的となった。

「中国が快く思わないのは当たり前だ」と、北京に駐在し北朝鮮を担当する外国の外交官は言う。「叔父を処刑するなんて、まるで封建時代だ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

妊娠中のタイレノール服用と自閉症発症に関連性、トラ

ワールド

プーチン氏、新STARTの失効後1年順守を提案 米

ワールド

ルビオ米国務長官、インドとの関係の重要性強調 ビザ

ワールド

旧統一教会の韓総裁を逮捕、尹前政権に金品供与容疑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがたどり着ける「究極の筋トレ」とは?
  • 3
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 7
    「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世…
  • 8
    米専門職向け「H-1B」ビザ「手数料1500万円」の新大…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「コメの消費量」が多い国は…
  • 10
    「汚い」「失礼すぎる」飛行機で昼寝から目覚めた女…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 4
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 7
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中