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中国共産党

中国の腐敗はどこまでいくのか? 腐敗を取り締る中紀委の財政部トップが取り調べを受ける

2017年8月28日(月)16時15分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

ともかく腐敗問題を解決しなければ「党が滅び、国が滅ぶ」。それほどに中国の腐敗の蔓延は尋常ではない。権力闘争などしているゆとりがどこにあるのか。党の総書記に権力を集中でもさせない限り、中国共産党政権は必ず腐敗によって崩壊する。これは不可避だ。

ここ数カ月で捕獲された「虎」

以下、ここ数カ月の間に中共中央紀律検査委員会の取り調べを受けた党高級幹部の名前とその時の身分を記してみよう。

●2017年7月

 楊煥寧:60歳、中共中央委員会委員、国家安全監督総局党組織書記、局長
 孫政才:54歳、中共中央政治局委員、(中国共産党)重慶市(委員会)書記
 許前飛:62歳、江蘇省高級人民法院(高級地方裁判所)院長(所長)党組織書記
 周化辰:65歳、吉林省人民代表大会(地方議会)常務委員副主任
 王三運:65歳、中共中央委員会委員、全人代教育科学文化衛生委員会副主任
 王宏江:52歳、(中国共産党)天津市委員会常務委員、統一戦線部部長
 張喜武:59歳、中共中央委員会候補委員、国務院国有資産監督管理委員会中国共産党委員会副書記、副主任

●2017年6月

 劉善橋:61歳、湖北省政治協商会議副主席
 曲淑輝:62歳、中共中央紀律検査委員会委員、中央紀律検査委員会駐国家民族事務委員会紀律検査組組長

●2017年5月

 劉新斉:61歳、新疆ウィグル自治区生産建設兵団中国共産党委員会副書記、司令員
 楊家才:56歳、中国銀行業監督管理委員会中国共産党委員会委員
 魏民洲:61歳、陝西省人民代表大会常務委員会中国共産党組織副書記、副主任

●2017年4月

 周春雨:49歳、安徽省副省長
 陳傳書:63歳、民政部中国共産党組織メンバー、中国老齢協会会長
 張化為:中共中央紀律検査委員会中央巡視組副部級巡視専門員
 楊崇勇:62歳、中共中央委員会候補委員、河北省人民代表大会中国共産党組織書記
 項俊波:60歳、中国共産党中央委員会委員、中国保険監督管理委員会中国共産党委員会書記、主席

このようにわずか4カ月間の動きを見ても、国家級あるいはそれに準じる高級幹部がつぎつぎに腐敗で取り調べを受け、逮捕され、投獄されるのである。さらに中級レベル以下の腐敗幹部が20万人ほど、この間に逮捕されている。これは権力闘争などで説明できる性格のものではなく、中国共産党政権の腐敗がいかに底なしであるか、そしていかにして中国共産党の一党支配体制を腐敗によって崩壊させないようにするかのための戦いでしかないのである。

その崩壊を防ぐために、習近平は人民に人気のある毛沢東の真似をして、自らを「第二の毛沢東」と位置付けようとしている。そうでもしなければ、やはり一党支配体制は崩壊するからだ。だから日中戦争中に毛沢東が勇猛果敢に日本軍と戦ったという「神話」を創りあげ、それを否定するような言論は絶対に許さない。

中国共産党は政権が崩壊するまで、どんなことがあっても嘘をつき通すだろう。

筆者が『毛沢東 日本軍と共謀した男』で書いた内容を批判したがる日本人が一部にいるが、劉暁波を始め多くの良心的な中国の知識人が、筆者と同じことを論証している。

腐敗と言論弾圧――。

この二つの軸を正視しない限り、習近平政権の真相は見えない。それを大前提としてこそ初めて、第19回党大会の分析に着手することができると確信する。

endo-progile.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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