最新記事

中国外交

習近平、苦々しい思い:米韓合同軍事演習

2017年8月25日(金)17時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

8月14日、金正恩が「悲惨な運命の時間を過ごす愚かなアメリカの行動をもう少し見守る」と発言したその「見守る対象」とは何か?

それこそが21日から31日まで行われる米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアン(Ulchi-Freedom Guardian, UFG)」である。

たしかに「米朝舌戦の結末に対して、中国がカードを握ってしまった」に書いたように、環球時報が米朝両国に警告したのは以下のことである。

●北朝鮮に対する警告:もし北朝鮮がアメリカ領を先制攻撃し、アメリカが報復として北朝鮮を武力攻撃した場合、中国は中立を保つ(筆者注:即ち、中朝軍事同盟は無視する)。

●アメリカに対する警告:もしアメリカが米韓同盟の下、北朝鮮を先制攻撃すれば、中国は絶対にそれを阻止する(筆者注:これは中朝軍事同盟に従って北朝鮮側に付くことを意味する)。

北朝鮮が中国のこの警告に従った以上、中国としては何としても米韓合同軍事演習を中止してほしかった。しかしアメリカは「中止しない」ことを、こともあろうに日米「2+2」外交防衛会議の流れの中で発表したのだ。

裏切られた「ダンフォード・習近平」会談――日米「2+2」外交防衛会議

新華社のウェブサイト新華網は、8月18日、日本時間17日に日本とアメリカの外務・防衛閣僚協議「2+2」が日本時間17日夜にワシントンで開催され、その共同記者会見で「日米韓の安保協力」と北朝鮮に対する3か国の軍事演習強化などに言及したことを詳細に報道した。

このことに関して中国は激しく反応している。

たとえば新華網が発信した情報は中国のさまざまなウェブサイトで転載されている。新浪新聞や21世紀新聞などがある。もちろんCCTVでも特集番組で取り上げたが、うまくリンクできる安定したURLが見つからないので、これらの文章から読み取って頂きたい。

中国外交部のスポークスマン・華春瑩(か・しゅんえい)も17日、定例記者会見で「双暫停」こそが中国の絶対的な基本方針だと主張し、アメリカがそれを拒否したことを非難した

CCTVは8月23日の「朝聞天下」や8月24日の「今日関注(Focus Today)」など、ひっきりなしに米韓合同軍事演習に関する報道を繰り返している。(リンク先がうまくつながらない場合はお許し願いたい。)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

OPECプラス、6月日量41.1万バレル増産で合意

ビジネス

日本との関税協議「率直かつ建設的」、米財務省が声明

ワールド

アングル:留学生に広がる不安、ビザ取り消しに直面す

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見...「ペットとの温かい絆」とは言えない事情が
  • 3
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「CT写真」で体内から見つかった「驚愕の塊」
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    なぜ運動で寿命が延びるのか?...ホルミシスと「タン…
  • 8
    「2025年7月5日天体衝突説」拡散で意識に変化? JAX…
  • 9
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 10
    「すごく変な臭い」「顔がある」道端で発見した「謎…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 10
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中