最新記事

ミサイル実験

北朝鮮ICBM開発 射程圏入りの米ハワイとアラスカ、危機感高まる

2017年7月10日(月)18時08分

7月6日、北朝鮮の国営メディアによれば、今週試射されたミサイルは高度2802キ ロに達したという。一部の西側専門家の中には、このミサイルが8000キロ以上の射程を持ち、ハワイとアラスカを射程内に収めるのではないかと解釈する見方が出ている。ホノルルにある第2次世界大戦時代の防空壕(2017年 ロイター/Hugh Gentry)

米ハワイ州オアフ島のランドマーク、ダイヤモンドヘッドの火口の麓(ふもと)には、使われなくなった軍事用トンネルがある。ワイキキビーチでくつろぐ観光客の目に触れることはないが、ジーン・ワード州議会議員の頭の中は、このトンネルのことで一杯だった。

北朝鮮が今週行ったミサイル実験と、新しく開発した大陸間弾道弾(ICBM)には大型核弾頭が搭載可能という同国の主張に危機感を募らせたワード議員は、万一に備え、このトンネルを、市民用シェルターとして、今こそ再整備すべきだと考えている。

「これまでにも警鐘は鳴っていたが、7月3日に起きたことは、私たちをベッドから揺さぶり起こした」とワード議員は今回のミサイル実験について語った。

北朝鮮国営メディアによれば、今回試射されたミサイルは高度2802キロに達したという。一部の西側専門家の中には、このミサイルが8000キロ以上の射程を持ち、ハワイとアラスカを射程内に収めるのではないかと解釈する見方が出ている。

北朝鮮で加速するミサイル開発プログラムについて、ツンドラ地帯のアラスカから熱帯のハワイに至るまで、米国民は何年も前から頭を悩ませている。ただ、孤絶した北朝鮮政府の本当の能力と意図が不明なだけに、今回のミサイルに対して、住民からはこれを懸念したり、肩をすくめたりと、さまざまな反応が見られた。

民主党優位のハワイ州で共和党の州議会議員を務めるワード氏は、米軍が建設した掩蔽壕(えんぺいごう)の再利用を定めた州法復活を支持している。掩蔽壕は、第2次世界大戦に米国が参戦する契機となった1941年の日本軍による真珠湾攻撃以前に建設されたものだ。

トンネルは、オアフ島に建設された多数の軍事用掩蔽壕と砲台のあいだを走っている。ハワイが米国領となった1898年以降から第2次世界大戦を通じて行われた陣地構築の名残りである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 演習2日

ワールド

オランダ企業年金が確定拠出型へ移行、長期債市場に重

ワールド

シリア前政権犠牲者の集団墓地、ロイター報道後に暫定

ワールド

トランプ氏、ベネズエラ麻薬積載拠点を攻撃と表明 初
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中