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エリザベス女王、最長在位の秘訣は食にあり(チョコは別腹)

2017年6月19日(月)17時30分
西川 恵(毎日新聞社客員編集委員)※時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」より転載

同氏は女王の日常の食事の特色を3点挙げている。

 1、食に対して自制心、自己抑制が極めて強く、1日4食で、常に少なめ。例えば昼だとソテーした魚にサラダが定番で、お米、パスタ、ポテトなどのデンプン質、炭水化物は日常ではほとんど取らない。

 2、倹約、節約を旨としている。例えば大皿に盛った料理の飾り付けにレモンを1個付けると、それを厨房に戻してきて、別の料理に使うように指示する。

 3、食には自制心の強い女王だが、唯一目がないのがチョコレート。特にチョコレートクッキーが大好きで、これだけは途中で下げないとあるだけ全部食べてしまうので、サービスする人間は注意していた。

英国の元首として外国の賓客をもてなす饗宴は頻繁にあるし、外国訪問では連日、昼夜と食事会が入る。特に外国にあっては英女王においしいものを食べてもらおうと、料理人はフォアグラやキャビアなど高級食材を多用した料理を出すのが常だ。

女王は料理を残すことは許されず、きれいに食べなければならない。美食でも連日となれば体にこたえる。女王が日常の食事を特に気を付けているのは、体のバランスを回復させるためだ。65年間、食欲に任せて美食を続けていたら、体を壊していただろう。

女王の日常食で料理人が心得ておくべき幾つかのルールがある。ニンニクは絶対使わないこと。タマネギは少なめに。肉の焼き方はレアではなく、ウェルダンに...。

ニンニク禁止は徹底している。嫌いなのではなく、公的な場でニンニクの臭いをさせるのは失礼に当たると考えている。タマネギも同様の考えからだ。

【参考記事】英女王「死去」の符牒は「ロンドン橋が落ちた」

野菜の多用は女王の指示

現在、バッキンガム宮殿の厨房を仕切る料理長はマーク・フラナガン氏。12年5月、エリザベス女王の即位60年を祝う昼食会がロンドン郊外のウィンザー城で開かれた際の料理もフラナガン氏が担当した。この時天皇、皇后両陛下も出席した。次のような内容だった。

半熟卵にアスパラガス
ウィンザー地方の仔羊、ポテト、アーティチョーク、エンドウ、ニンジンと共に

トマトとバジルのサラダ
ケント産のイチゴとバニラのケーキ、果物を添えて

料理に野菜が多く使われているのも女王の指示である。日常食ではポテトを食べない女王でも、こういう時は口にするのだろう。

この食事会では広間に12人掛けの丸テーブルが幾つも配置され、それぞれのテーブルに各国の君主・王族のカップルとホストの英王族が座った。

天皇、皇后両陛下はエリザベス女王、夫君フィリップ殿下と同じメインのテーブルで、天皇は女王の左隣という2番目の上席を与えられた。女王の右手の最上席はスウェーデンのカール16世グスタフ国王が占めた。皇后はその国王の右隣の席だった。

女王が皇室よりも行き来があり、縁戚関係もある欧州の王室を差し置いて両陛下を上席に着けたところに、女王の心配りと共に、両陛下に対する親愛の情が伝わってくる。

両陛下そろっての訪英はこれが7回目だったが、振り返れば陛下にとって退位前にエリザベス女王と会う最後の機会だったとなるのではないだろうか。

【参考記事】エリザベス女王がトランプ氏を公式招待へ ──王室の占める位置とは

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