「準備はどう?」と質問されて「順調です」と答えてはいけない
ここで質問をリープすると――「順調です。◯◯の話を中心に説明しようと思います。あと、▲のデータも用意して紹介するつもりです」。
こうすれば、上司が求める情報を与え、かつ理解度を高めるだけでなく、自分自身も必要なフィードバックを受けられるようになる。さらに、自分の仕事に対する姿勢をアピールすることにもつながる。ゼロをイチへ、ありふれた質問を自身の成長への足がかりへと変えられるのだ。
すべての質問が成功へのチャンスとなる
こうした日常会話こそ「成功への階段」だとヴァンス博士は言う。すべての質問が成功へのチャンスなのだ。だから、「そのたびに跳んでしまおうと考えているくらいでちょうどいい」。
ソクラテス以来、質問が重要だと言われ続けているのは、それくらい質問がむずかしいからだろう。質問とは、自らトピックを選んで口火を切ることであり、良い質問をするには、豊富な知識や高い認知力が必要だ。外国語でのコミュニケーションならリスニング能力も必要になる。
それに比べると、確かに答えること自体はさほど難しくない。ヴァンス博士も言うように、「二日酔いや寝不足で質問を半分聞き逃してしまっても、きちんと応答できた経験」はだれにでもあるはずだ。
しかし、そんな答え方ではいけないのだ。本書では、言語学者らしい解説を交えながら、実践的な答え方の戦術が紹介されている。
「スピーチこそ文明」とみなしてきた西洋の人々が質問を重視し、その考えが世界に広まっているのだとすれば、グローバルなコミュニケーションとは、言ってみれば質問合戦だ。ならば、そうした質問を大きく飛躍させる応答力を磨くことが、世界で活躍できる近道なのかもしれない。
【参考記事】1人の時間が必要な内向型、人と会って元気になる外向型
『答え方が人生を変える
――あらゆる成功を決めるのは「質問力」より「応答力」』
ウィリアム・A・ヴァンス、神田房枝 共著
CCCメディアハウス
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