最新記事

中国社会

中国「工場汚染との闘い」は掛け声倒れ 失望する住民たち

2017年6月5日(月)18時30分

河北省環境保護局は館陶化学工業団地に対する監視を強化すると約束したものの、地元住民によれば違反は続いているという。

たとえば、ロイターが閲覧した住民提供の文書によれば、昨年3月、Hebei Rongte Chemical Corpは、ベンゼン加熱用ガスケットの破断により有毒物質を含む蒸気が大気中に漏出したことについて、地元住民に対し「内部管理」の強化を約束した。ベンゼンには発ガン性物質として知られている。

ロイターがこの事故について問い合わせたところ、同社職員は電話を切ってしまった。

他のプラント操業について直接知る関係者によれば、未処理の排水が直接土壌に捨てられることは日常茶飯事だったという。「汚染水があまりにも多いので処理しきれなかった」。この関係者は、なぜ施設内の処理設備を使わなかったのかと問われてそう答えた。

化学工業団地の責任者とは連絡が取れなかった。

2014年後半には、いら立った村民たちが化学工業団地と地元の幹線道路を封鎖する事態に至っている。

封鎖を解除するため、化学プラント側が1日3元(約50円)の金銭補償を提示したが、実際の支払いはなかったとの主張があり、ロイターはこれを確認しようとしたが、関係者に連絡は取れなかった。

「補償金が得られるかどうかは重要ではない。プラントを閉鎖させることが肝心だ」と南寺頭の住民であるDingさん(46)は語った。

(翻訳:エァクレーレン)

Natalie Thomas and David Stanway

[邯鄲(中国) 29日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シンガポール航空機、乱気流で緊急着陸 乗客1人死亡

ビジネス

イーサ現物ETF上場承認に期待、SECが取引所に申

ワールド

ロシア軍が戦術核使用想定の演習開始、西側諸国をけん

ビジネス

アングル:米証券決済、「T+1」移行でMSCI入れ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル写真」が拡散、高校生ばなれした「美しさ」だと話題に

  • 4

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の…

  • 5

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 6

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 7

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    「韓国は詐欺大国」の事情とは

  • 10

    中国・ロシアのスパイとして法廷に立つ「愛国者」──…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 10

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中