最新記事

ロシア疑惑

コミー前FBI長官が反トランプの議会証言 何がわかったのか

2017年6月12日(月)21時30分
エリアス・グロル

■セッションズ司法長官も悪なのか

コミーは明かしたトランプとの会話は驚くべきものだったが、捜査に関する情報は明かさなかった。興味深いのは、ジェフ・セッションズ司法長官がなぜロシア疑惑の捜査から外れたのか問われて、公開の場では答えられないとコミーが言ったことだ。トランプの腹心でもあるセッションズは3月、トランプ選対幹部だったことを理由に捜査から外れた。だがコミー証言の結果新たな疑惑が浮上したとして、13日に公聴会で証言する予定だ。

■国家安全保障責任者に刑事捜査

トランプの右腕という触れ込みの問題児マイケル・フリンは、就任後1カ月ももたずに国家安全保障担当大統領補佐官を辞任させられた。政権発足前にロシアのセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と電話で話した内容について、マイク・ペンス副大統領に嘘をついたからだ。

コミーは、フリンが辞任前からFBIによる事実上の刑事捜査の対象であり、FBIはロシア当局との接触の内容を具体的に捜査していたと述べた。

弾劾の理由に迫れ

フリンはアメリカの国家安全保障と情報機関に関する最高度の機密情報を扱う国家安全保障担当という立場にありながら、FBIによる刑事捜査の対象にされていたことが裏づけられた。

■「フリンはいい奴だ」疑惑

トランプは2月14日の会合で、大統領執務室から司法長官らを退室させコミーと2人きりになった上で、フリンの捜査から手を引くよう圧力をかけてきた。コミーはトランプから「フリンはいい奴だ。いろいろ大変な思いをしてきた」「この件はやり過ごしてほしい」と言われたと証言した。

民主党議員は、FBIが進めていた捜査をトランプが邪魔しようとしたのではないか、とコミーに問いただした。それが事実なら司法妨害として弾劾理由になる。それは自分が話すことではないと、コミーは言った。

■司法妨害か否か

ロシア疑惑を捜査する特別検察官には、すでにロバート・ムラー元FBI長官が指名されている。報道によれば、フリンの疑惑も特別検察官による捜査対象に加わった。コミーはトランプとの会話のメモをムラーに提出したことを明らかにしたうえで、今後ムラーはトランプの行為が司法妨害に当たるかどうかの捜査を始めるだろうと言った。「(司法妨害となるかどうかを)判断するのはムラーの仕事だ」

【参考記事】司法妨害って何? FBI前長官の議会証言の見どころ

コミーは先月FBI長官を解任された時点で、ロシアが大統領選に介入した問題でトランプは捜査対象ではなかったと明言した一方、トランプのやったことが結果的に司法妨害の捜査対象になる可能性にも言及した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ、鉱物協力基金に合計1.5億ドル拠出へ

ワールド

中韓外相が北京で会談、王毅氏「共同で保護主義に反対

ビジネス

カナダ中銀、利下げ再開 リスク増大なら追加緩和の用

ワールド

イスラエル軍、ガザ市住民の避難に新ルート開設 48
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中