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日本のCEOは技術革新を生き抜く自信がない

2017年6月30日(金)16時20分
猪澤顕明(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

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危機感はあるが投資を行っていない

こうした状況を反映しているのだろう。「破壊技術に関するCEOの懸念事項」という質問に対して、「自社が最新技術に追随できていない」という回答が日本では79%に上った(グローバルでは47%)。同じ質問に対し、「自らの経営判断の基となるデータの品質」と答えたCEOも日本は78%と多かった。

「ビッグデータをタイムリーに、正確に、意味のあるものとして分析する技術に対する投資が追いついていない。米国の経営者のほうがデータの有用性を認識し、人材も含めた投資ができている」(同)

何が彼我の差を生んだのか。宮原氏は「最近の日本の経営者は、効果が目に見えない投資を控える傾向がある。経営陣の感度が強くないと、ビジネスモデルの変革につながる技術への投資に時間とおカネを割かない」と分析する。

破壊的な技術に危機感を覚えているが、それに十分対応できていないのが多くの日本企業が置かれた現状だ。日本のCEOが対峙すべきは、制御不能な地政学リスクではなく、自らの変革を阻害する"内なる敵"なのかもしれない。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
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