最新記事

キャリア

即興劇の女優が教えるクリエイティビティの5原則

2017年6月8日(木)17時36分
キャシー・サリット ※編集・企画:情報工場

写真は本文と関係ありません fabioderby-iStock.

<ビジネスパーソンがクリエイティビティを発揮するには、どうすればいいか。「演技」、特に「即興演技(インプロ)」の考え方を応用した5つの原則とは?>

子どもの頃、初めて補助輪の付いていない自転車のサドルにまたがった時、あなたはどうやってそれを走らせたらいいか、わからなかった。だが、自転車の乗り方を覚える最大のコツは、すでに乗り方を知っているかのように「振る舞う」ことだったはずだ。「振る舞う」こと、すなわち自転車乗りを「演じる」ことで、実際に自転車に乗れるようになった。

子どもの頃の学習の多くは、自転車に乗る方法の覚え方と共通している。すなわち、「振る舞う」「演じる」という方法だ。これらは子どもの「遊び」の中で行われる動作でもある。ロシアの心理学者レフ・ヴィゴツキーは、幼少期の発達と学習における社交性や「遊び」「演技」の要素の重要性を指摘している。

子どもとは違い、遊んだり、演じたり、誰か別の人のように振る舞ったりすることは、大人にとって自然なことではない。だが、実は大人になっても成長できるし、発達は続くのだ。小さい頃のように「演技」や「遊び」をすればいい。

「"なるには(becoming)"原理」は、5つの基本原則で構成されている。これらの原則といくつかのエクササイズは、あなたのものの見方と行動を劇的に広げてくれるはずだ。

原則1:成長することを選択する

成長を阻む最大の原因の1つは、「やり方を知らなければならない」という思い込みだ。もちろん、物事を知っているのに越したことはない。だが、「知っていなくてはならない」と考えすぎると、学習と成長のチャンスを逃すことになる。ここで、成長のためのエクササイズを紹介しよう。

知識を捨てる:
「答えを知っている人」(もしくは「答えを知りたがる人」)ではなく、「答えを知らない人」を演じてみよう。次のようなフレーズを口にするといい。「まったくわからない!」「ちょっと落ち着いて考えてみよう」「はっきりした答えは出ないようだ」

不可能と思っていたことをしてみる:
自分自身を「そんなことは到底できない」と言わざるを得ないシチュエーションに置いてみよう。「どうやってやればいいかわからない」あるいは「得意じゃない」ことに相対してみることだ。思い切って新しい課題に手を伸ばしてみる(普段なら進んで参加しないようなプロジェクトに手を挙げるなど)。

原則2:調和を重視する

素晴らしい演技は、(たとえソロの場面であっても)1人だけでは生まれない。最もクリエイティブでイノベーティブ、そして効率的な仕事環境は、周囲の人々と調和のとれた関係が維持されている時に実現する。とりわけ、それぞれ異なるスキルや経験、気質、バラエティに富んだ意見を持つ人々による「調和」が望ましい。こんなエクササイズを試してみてほしい。

一人称を複数形にする:
数日間、「私」と言うべきところをすべて「私たち」にしてみよう。そこで自分が何をどのように言うかに注目する。そして、同僚たちがどういう反応をするかを観察する。

【参考記事】ひとり黙々と仕事がしたいあなたへ:チームワークを成功させる方法

原則3:聴くこと。それは対話を変革する

作家のマーク・トウェインがこんなことを言っている。「お互いにコミュニケーションをとろうとするのをやめてみよう。そうすれば私たちは"対話"を始められる」

真の対話ができるかどうかは、いかにきちんと「聴く」ことができるかにかかっている。誰かが話をしている時、私たちは実際は「聴く」ことをしておらず、次に何を言うかを頭の中で組み立てていることが多い。次のようなことをやってみるといい。

「聴く」を優先させる:
1対1の対話で相手の話に集中するとともに、次にどんなことを言うのか推測するのをやめる。自分が答える前に、いつもより長く時間を置く。

【参考記事】部下の話を聞かない人は本当のリーダーではない

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英インフレ率目標の維持、労働市場の緩みが鍵=ハスケ

ワールド

ガザ病院敷地内から数百人の遺体、国連当局者「恐怖を

ワールド

ウクライナ、海外在住男性への領事サービス停止 徴兵

ワールド

スパイ容疑で極右政党議員スタッフ逮捕 独検察 中国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中