中国、北京の南西に新たな経済特区 習主席の後押しで期待
4月12日、中国政府は北京の南西約100キロの地域に「雄安新区」を設置する計画を公表したが、これは習近平国家主席が後押しする事業で、上海や深センに続く新区になると宣伝されており、期待と興奮が高まっている。雄安新区に近い村で6日撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)
中国政府は今月、北京の南西約100キロの地域に「雄安新区」を設置する計画を公表した。習近平国家主席が後押しする事業で、上海や深センに続く新区になると宣伝されており、期待と興奮が高まっている。
中国政府は新区で投機的な価格高騰を防ぐため、開発地域にある河北省雄県と安新県での不動産販売を禁止。7日には前深セン市長の許勤氏を河北省の省共産党委員会副書記に任命した。アナリストによると、同新区開発をにらんだ人事だという。
かつてはのどかな漁村だった深センは1980年に特別経済区に指定され、一大経済拠点に姿を変えた。
雄安新区の詳細が決まるのはこれからだが、面積は2000平方キロと日本の首都東京とほぼ同じ広さ。環境に配慮した都市とし、北京から「非首都機能」を移転。ハイテク産業の誘致も目指す考えだ。
中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)など30近い企業が関心を示しているが、具体的な計画の発表はまだない。
雄安新区の予定地は、雄県、安新、容城の3県にまたがり、人口は約100万人。小麦栽培のほか軽製造業が盛んで、環境汚染も深刻だ。深セン経済特別区や上海浦東新区のように大規模な経済改革が実行される見通しはなく、内陸部にあることは輸送面での弱点と言える。
不動産コンサルタント会社、ジョーンズ・ラング・ラサールの中国北部リサーチ責任者、スティーブン・マッコード氏は「市場原理に任せたなら、おそらくこの場所は選ばれなかった。しかし、中央政府が無制限に支援するなら、望むことは何でも可能だ」と話す。
雄安新区は政治的そして地理的な空白地域とも言え、多くの雇用を生み出し、中国北部の経済発展の起爆剤となる可能性も秘めている。習国家主席自身も今年2月後半に安新県を訪れていたが、そのことが明らかになったのは新区が公表された4月1日になってからだった。
モルガン・スタンレーが予想する基本シナリオでは、雄安新区の建設には毎年1330億元(193億ドル)の固定資産投資が見込まれる。これは昨年の中国全土の固定資産投資(56兆2000億元)の0.24%に相当する。