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中国、北京の南西に新たな経済特区 習主席の後押しで期待

2017年4月14日(金)08時35分

ただ、中国ではこれまで同様の計画が期待外れに終わったケースもある。胡錦濤・前国家主席が開発を推進した同じ河北省の曹妃甸の場合、債務が膨れ上がって計画は頓挫した。政府は曹妃甸の産業強化のためてこ入れを続けてきたが、他省との競争などが障害となった。

また、安新県の住民全員が新区を喜んでいるわけでもない。ある50代の外食店保有の女性は「私には必ずしもいいことではない」と話し、農地に立つ広々とした郊外住宅から立ち退きを強いられるのではないかと不安を口にした。

地域の主要産業であるプラスチック会社のオーナーも「(企業活動により)ある程度は環境を汚染してしまっていることを考えると、新区を建設するとなれば、制限を受けることになるのは確実だろう」とぼやいた。

とはいえ、アンバウンド・コンサルティングでマクロエコノミック・リサーチの責任者を務めるHe Jun氏は「曹妃甸には中央政府の支援があったものの、国家レベルでの特別経済区とは天と地の違いがあった。雄安の重要性とは明らかに次元が違う。雄安の最大の武器は中央政府の力強い後押しを得ている点だ」と指摘する。

また「習主席が、次の深セン、次の上海になると考えるなら、そうなるのだろう」と雄県のある店舗従業員が話すように、地元住民の大半の受け止めは楽観的だ。

(Yawen Chen記者、 Elias Glenn記者)

[雄県(中国)/北京 12日 ロイター]


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