最新記事

ワークプレイス

R&D系オフィスの新潮流、マイクロソフトのBuilding 44に潜入!

2017年3月31日(金)19時02分
WORKSIGHT

wsMicrosoft170331-4.jpg

居心地の良い空間にするため、壁や天井の色・テクスチャにこだわったという。

wsMicrosoft170331-5.jpg

チームスペースのドアにはワーカーの手によるデコレーションが施される。

部署ごとに異なるデザインを採用、それぞれの個性を可視化させる

「『ほかの人が何をしているか』理解することが大事になったのです。個室に分断されていると難しいですが、みんなが隣にいればより簡単です。ちょっとチェアを移動させて『これどう思う?』と意見を聞けますし、わざわざミーティングをセッティングする必要もありません。ドアが閉まってばかりのオフィスではエナジーも感じない。それではコミュニティも出来ないでしょう。ただし20チームも一緒になる必要はありません。1つの大きな場所に何百人も集まっては気が散りますからね」(クラークソン氏)

部署間の壁を取り去りオープンであろうとするのではなく、むしろ部署ごとに全く異なるデザインを採用することで、それぞれの個性が可視化され、凝集性が高まる。ネイバーフッドの狙いはこれだ。

個別に「どんなスペースが必要か」打ち合わせを重ねた結果、ある部署では壁に馬の首を模したオブジェが掛けられ、ある部署はシンプル極まりないデザインにまとめられた。色も質感もまちまちだ。各部署には「フォーカスルーム」が割り当てられ、用途を含めカスタマイズが可能だ。立ち会議室にするチームもいれば、ゲームルームに作り替えたチームもあるという。

他部署とのつながりを促すソーシャル・スペースを設置

部署ごとの個別最適を追求すると境界線上に調整しきれない箇所が生じるが、必要に応じてガレージシャッターで部署間を隔てることでカバーした。

「これによって部分最適とフレキシビリティを両立出来ます。プライバシーがあると同時に自分のチームとの所属感もあります。こうした効果は初めから分かっていたわけではありません。柔軟に対応できる壁を作るにはどうしたらいいのか。空間を仕切るには、どんなものが適しているのか。多くは運用の中で学んだことでもあります」(クラークソン氏)

他方、他部署とのコネクションを維持するソーシャルな機能をもったスペースを各所に配した。通路に面したスペースにキッチンやフォンルームを設けオフィス内に賑わいを供給する。

【参考記事】光と優秀な人材を取り込む「松かさ」型ラボ

wsMicrosoft170331-6.jpg

(左)エントランス脇から垂直に延びる階段。同社クラウドサービス「azure」にちなんだ青のカラーリング。上下階のコミュニケーションをつなぐ。(右)キャンパス内はかなりの広さ。建物間の移動にはシャトルバスが使われる。巡回するシャトルバスは、シアトル市内のバスの数を上回るほどだ。

wsMicrosoft170331-7.jpg

部署ごとにデザインされるチームスペースの一例。ソファやテーブルなどのファニチャーは設計の段階でリクエストすることができる。

wsMicrosoft170331-8.jpg

受付にはマイクロソフト製デバイス「キネクト」を使い、人の動きにあわせて動くアートが展示されていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中