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投資の基礎知識

株価が割安かどうかを見極める指標の「三角関係」

2017年3月2日(木)14時53分
岡田禎子 ※株の窓口より転載

指標だけではわからないこと

このように現在の株価を判断する場合、PER、PBRの株価指標は重要な判断材料となります。3500社以上ある上場企業から銘柄を選択する際、これらをもとにスクリーニングにかけて選ぶことは効率的といえます。しかし、株価というものはPERやPBRといった尺度で表された値で動くわけではありません。これらは、株価の「本質的な価値」を客観的に判断する材料にすぎません。

2014年1月からスタートしたJPX日経インデックス400や、コーポレートガバナンスの強化などにより、「高ROEで低PBR」銘柄が物色された時期がありました。しかしその後、2016年初めの急落で業績相場に移り、「業績の良い高PER」銘柄が注目されて、割安銘柄は割安のまま放ったらかしにされます。たとえば商社株は「低PER、低PBR、高ROE」にもかかわらず資源価格の動向などが嫌気され、株価は割安のままでした。

■短期トレードに指標は必要ない

また、短期のトレードをするなら、そもそもこうした指標は意味をもちません。なぜなら、これらの指標は会社の「価値」(業績)と株価を比較するためのものだからです。しかしトレードでは、価値に対して割高だろうが割安だろうが、重要なのは「株価」が動くかどうか、です。1日や数日といった短期間での値動きには、業績以外の多くの要素が絡んできます。

株式市場における株価は多くの場合、投資家の「心理」を反映した需給で決まります。実際に投資する際には、長期の投資であろうと短期のトレードであろうと、指標だけで判断することのないように心がけましょう。自分の株式投資の目的にあわせて、総合的な判断に基づいておこなうことが大切です。

[筆者]
岡田禎子[おかだ・さちこ]
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう、執筆、セミナーなどで活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
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