最新記事

ブレグジット

メイ英首相が今月EUに離脱通知 ブレグジットは実戦モードへ

2017年3月4日(土)10時57分

3月1日、英国のEU離脱(ブレグジット)問題は、水面下の駆け引きにとどまる「偽りの戦争」の段階からついに「実戦モード」に突入する。写真は英国旗。ロンドンで昨年6月撮影(2017年 ロイター/Toby Melville)

英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)問題は、水面下の駆け引きにとどまる「偽りの戦争(phony war)」の段階からついに「実戦モード」に突入する。場合によっては悲惨な事態になるだろう。

メイ英首相は今月、EUに正式に離脱を通告する方針。これを受けてEUは4月に首脳会議を開催する見通しで、加盟各国は交渉の行方に影響する決断を迫られる。これが英国が最初に交渉すべき項目や、後回しにしなければならない問題、そして交渉自体の枠組みなどを左右する可能性がある。あるEU高官は「非常に重い政治判断になるだろう」と述べた。

このEU首脳会議は、ブレグジット問題で加盟国の結束が試される最初の機会になりそうだ。各国首脳は、英国が交渉を有利に進めるためEUの分断を図ってくることを警戒している。

一部では、他のさまざまな問題で既に豊かな国と意見が合わない東欧の国民所得が低い諸国は、特に英国からの資金援助になびきやすいと懸念されている。

別のEU高官は、加盟国の団結を維持する取り組みについて「英国が『分断して支配する』作戦を始めれば、台無しになりかねない」と不安を漏らした。

複数の外交官によると、メイ首相は今月20日ごろに離脱通告を発する可能性がある。それに伴ってトゥスクEU大統領は、早ければ4月6日にも首脳会議を開くとみられる。

EUが目標とする2018年10月までに英国との交渉合意にこぎ着けるには、夏までに2つの問題を整理して対応する必要がある。1つは加盟国が交渉担当者に付与する指針の内容に合意すること、もう1つはEU欧州委員会が英国との間で離脱に関する諸問題についてどこまで掘り下げ、どのような日程で進めるかを決めることだ。

3人目のEU高官は「われわれは交渉課題と順位付けで合意しなければならない」と語り、個別の経済分野を切り離して協議しようとする英国の動きと対決する形になると付け加えた。

フランスとドイツの政府当局者も同様の見方をしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、アルジャジーラ記者を殺害 ハマスのリー

ビジネス

エヌビディアなど、対中半導体収入の15%を米政府に

ワールド

韓国、曺国元法相らに恩赦

ワールド

豪もパレスチナ国家承認へ、9月国連総会で イスラエ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 2
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入する切実な理由
  • 3
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋肉は「光る電球」だった
  • 4
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中…
  • 7
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 8
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 9
    60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 8
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 9
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 10
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中