最新記事

米外交

日米同盟をトランプから守るため、マティス国防長官はやって来た

2017年2月9日(木)10時20分
ロバート・E・ケリー(本誌コラムニスト)

もし、トランプとバノンが中国との対決を本気で想定、あるいは意図しているなら、日韓の力が不可欠だ。だから、ほかの同盟国のようには両国にかみつくことはしないかもしれない。

トランプ新政権の外交戦略は、過去何十年ものアメリカの基本戦略に反する。アメリカ外交界の主流派の多くは、同盟国を罵り、ロシアと接近し、わざわざ中国を挑発することには反対している。

それに、トランプはアメリカ独特の選挙制度のおかげで当選できたにすぎず、大統領選の得票数自体は対立候補のヒラリー・クリントンのほうが多かった。有権者の過半数がトランプの外交革命を支持しているとは言い切れない。

【参考記事】トランプに電話を切られた豪首相の求心力弱まる

こうした点を考えると、トランプの外交路線は官僚機構の激しい抵抗に遭うだろう。中国にけんかを売ったり、NATO無用論を唱えたりすることには、軍が反対する可能性が高い。

マティスの日韓での言動には、アジア情勢の安定を望む米外交界主流派の考え方がはっきり見て取れる。同盟国にとっては、安心感を持てる人物だろう。

問題は、マティスがどのくらいトランプの考えを代弁していて、どのくらい影響を及ぼせるのかということだ。

[2017年2月14日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、「途上国」の地位変更せず WTOの特別待遇放

ワールド

米、数カ月以内に東南アジア諸国と貿易協定締結へ=U

ワールド

ロシア、トランプ氏の「張り子の虎」発言に反論 経済

ワールド

エクソン以外もロシア復帰に関心=大統領府
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 2
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 3
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市場、売上を伸ばす老舗ブランドの戦略は?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    「汚い」「失礼すぎる」飛行機で昼寝から目覚めた女…
  • 6
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 7
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 8
    カーク暗殺をめぐる陰謀論...MAGA派の「内戦」を煽る…
  • 9
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 10
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 6
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 7
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 8
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 9
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中