最新記事

アメリカ政治

米次期政権の顔ぶれはトランプ同様「ボス」揃い エゴの衝突も?

2016年12月20日(火)18時26分

12月16日、トランプ次期米政権の内閣は、大統領本人にそっくりの性格になりそうだ。写真は、国務長官に指名されたエクソンCEOのレックス・ティラーソン氏。テキサス州で昨年4月撮影(2016年 ロイター/Daniel Kramer)

 トランプ次期米政権の内閣は、大統領本人にそっくりの性格になりそうだ。これまでに主要ポストに指名された21人の顔ぶれを見ると、年齢は高め、多くは白人男性で金持ち、リスクテークと商談成立の才覚を自負し、熟考より行動を重んじるタイプがそろっている。

 米政府は既得権益に支配され、「壊れて」いると批判してきたトランプ氏は、概して政府経験の長い専門家を避け、各界の「ボス」を集めたチームを結成した。

 閣僚指名者名簿から一目瞭然なのは、過去の大統領が起用してきたような知識人、弁護士、学会人といった人種が姿を消したことだ。代わりに登用されたのはエクソン・モービルやゴールドマン・サックスといった財界の重鎮ら、そして3人の元軍司令官も含まれている。

 彼らの多くはこれまで自分の思い通りに事を進めてきたが、今後はトランプ氏というボスに仕える必要がある。しかも、時として動きが鈍く、肥大化した官僚組織を率いなければならない。

 国務長官に指名されたエクソン・モービルのレックス・ティラーソン会長兼最高経営責任者(CEO)と、国防長官に指名されたジェームズ・マティス中央軍司令官を知る元米高官は、閣内で大規模なエゴの衝突が起こると予見する。

 ティラーソン、マティス両氏は「どんな場所に行ってもそこを牛耳ることに慣れ切っており、今度はシチュエーションルーム(緊急司令室)や、場合によってはオーバルルーム(大統領執務室)がそうした舞台に含まれることになりそうだ」という。

 これまでに指名された21人中、16人は白人男性だ。女性は4人だが、最重要級ポストに指名された女性は1人もいない。アフリカ系、アジア系、インド系がそれぞれ1人で、ヒスパニックは皆無となっている。

 数名は政府経験を持たず、自らが率いることになる機関に敵対的な人物もいる。

 トランプ氏は、現場経験があって物言いが単刀直入という自己イメージに沿った内閣をつくっている、と話すのはプリンストン大の大統領史研究者、ジュリアン・ゼリザー氏。「周りを軍人や商売人で固めていることから、明確なメッセージが読み取れる。冷酷非道な交渉人というのは、トランプ氏が描く自己像そのものだ」という。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

FRB理事候補ミラン氏、政権からの利下げ圧力を否定

ワールド

ウクライナ安全保証、26カ国が部隊派遣確約 米国の

ビジネス

米ISM非製造業指数、8月は52.0に上昇 雇用は

ビジネス

米新規失業保険申請、予想以上に増加 労働市場の軟化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 7
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 8
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中